ヤンゴン証券取引所の上場基準には投資家に対する保護が不足している

久しく待ち望んだヤンゴン証券取引所の上場規定が公表されたが、投資家の保護が欠けていると、専門家は懸念している

ミャンマーで初の証券取引所の上場基準が公開されたが、株主を保護する重要な規定が欠けていると、専門家は述べた。
詳細な規制が付け加えられない限り、違法企業による悪用のリスクがあると、彼らは述べた。
ヤンゴン証券取引所(YSX)は、今年後期にオープンする予定である。国営のMyanma経済銀行と、日本の証券グループの大和総研により所有され、国で最初の近代的証券取引所となる。
会社の株や所有権の一部を一般市民が購入することを可能にする新規公開株(IPO)を行うために、企業は上場基準を満たさなければならない。
YSXの規定は予想していたほど厳しくないと、ミャンマーを中心に活動している投資企業の社長は述べた。
「適切に税金が支払われていることの確認と、ミャンマーの財政報告基準に基づき準備された2年間以上の利益があることが、主な障害となるだろう」と彼は述べた。
利益に関する条件は新興企業の参入を阻むだろうと、ミャンマーの経済専門家Sean Turnellは述べ、「だが、そのような企業はこの時期にミャンマーの証券取引所を通して資本金を求めようとはしないだろう」と付け加えた。
企業は少なくとも5億チャットの資本金が払い済みでなければならないという規定は、未解決の訴訟がある企業の(上場)禁止と同様に、いくらかの望みも締め出すだろうと、Turnell氏は述べ、ハードルは比較的高いと考えていると彼は述べた。
「カンボジアとラオスの取引所は大混乱の場になっており、極端な警戒をしても問題ないだろう。保護措置は少し大げさなほど高いが、適切なバランスがとれている」と彼は述べた。
しかし、規定では、企業は100以上の株主が上場に必要だと明記しているが、公開株式の最低数についての規定がない。これは懸念されることであると、U Thura Ko Koは述べた。
「真に公に上場されており、株式の流動性があるということを確かにすることになる、一般に入手可能な株の最小割合についての基準がない」と彼は述べた。
「企業が上場せずに、査定を弄んでいることを確認することは重要である。100の株主がいたとしても、その内の90がごくわずかな株式を所有している場合、残りの10が価格を操作することが可能である」と彼は述べた。
カンボジア証券取引所(CSX)を例に見ると、企業は、少なくとも15%は上場しなければならない状態である。これは世界的に公正な基準で、シンガポールの二部市場も同様であると、U Thura Ko Koは述べ、シンガポールの一部市場はまた、査定の最低額を要求していると付け加えた。
「しかしシンガポールのカタリスト(Catalist)二部市場は、収益基盤が十分に大きい場合、2年間の収益を必要条件としておらず、より柔軟性を持っている」と彼は述べた。
情報公開の基準はまた非常に曖昧で、具体的な開示義務はないと、ミャンマー投資会社の社長は述べた。他の市場では、主要取引の発表や四半期ごとに会計を公開する条件が含まれていると彼は述べた。
また、株主総会や株主の議決権に関して、YSXの規則では定められていない。「だが、最低条件はある。そのためYSXがそれらに従い、(他の市場との)差を埋めるための詳細な規則を追加し、必要な保護を提供することが望まれる」と彼は述べた。
これらの規則は、証券取引所の3つの株主の1つである、大和総研券の姉妹企業である大和証券の職員によって発表された2014年の基準の草案に、類似しているように思われる。
2014年6月に議論された規定の草案では、企業は100以上の株主と最低5億チャットの資本金が必要とされている。また草案では、企業が直近2年間の収益を提示するか1,000万米ドル以上の市場資本金を保有していることを必要とされている。8月14日に発表された規則では、1,000万米ドルの資本総額の企業について、過去2年間の収益の条件を免除されているものとして言及されていない。
昨年、大和証券の社員は、少数株主に所有される特定の割合に関する条件についての計画があると述べたが、規則の最終版ではこの条件について言及されていない。
Myanmar Agri-Business Public社(MAPCO)、Htoo Group社の傘下であるAsia Green Development (AGD) 銀行、First Myanmar Investment (FMI)を含めた企業数社は、上場を計画していると公に述べた。
ビジネス関係者のサージ・パンは、自身が会長を務めていたFMIが、市場が公開された時に上場する準備が出来ているただ一つの企業だろうと、以前述べている。
MAPCOの上級職員は以前ミャンマータイムズに、同社が最終的に上場するまでに1年間はかかるだろうと述べた。
他の多くの企業も適格であると、U Thura Ko Koは述べた。「しかし大企業の多くは、ヤンゴンよりもシンガポールで上場したいと考えている」。いくつかの国では、企業は海外でIPOを試みる前に、自国で上場する必要がある。
合弁企業もまた許可されるだろうが、それに関する規則は明確でないと、ミャンマー企業の社長は述べた。
「合弁企業が禁止されるとは思わないが、彼らが承認されるかどうかは疑わしい。彼らは外国人を支援するのではなく、国内の貯蓄を国内企業の支援に向けるべきである」と彼は述べた。
(Myanmar Times 2015年 8月17日版 第9面より)