改正土地法により数百万人が不法占拠者として断じられ、和平交渉が妨げられる可能性がある

新たに改正された空地・休閑地及び未開墾地管理(VFV)法が2ケ月以内に施行されるため、農村部の何百万もの民族が立ち退きの危険に直面し、また一方で全国の多くの人が帰る土地を失う可能性がある。
土地の権利を保護するNGOであるLand In Our Hands (LIOH)が「過酷で重圧的である」と評する改正VFV法は、多くの紛争を起こし、既に分裂している国の亀裂を更に大きくする可能性があり、多くの問題を孕んでいる。
2012年に可決され2018年9月に施行された改正VFV法は、土地の権利関係を明確にし、土地利用の効率を改善し、企業による土地の権利侵害の防止を目的としている。しかし、2018年10月30日に農畜産灌漑省によって出された、土地許可申請の提出を求める、空地、休耕地又は処女地を要求する通知は、上述した内容に全くそぐわないように思われる。
申請が期限である3月までに受領されない場合、法律の下で不法占拠者とみなされ、祖先からの土地に住む何百万人の者、及び紛争によって避難した難民が立ち退きに直面し、2年以下の懲役、又は50万チャット以下の罰金を課されることになる。
VFV法の改正は、少数民族の土地所有者を保護し、土地紛争を解決するという民主主義連盟の公約に反するとして、市民社会グループ、農民組織、そして民族グループの間で大衆からの抗議を引き起こした。
「この法律は紛争を招いている」とカチン州タウングー地区のKaren National Union (KNU)の議長であるPado Saw L Wah氏は述べた。

和平プロセスへの影響
Pado Saw L Wah氏は、3月に改正法が施行された直後にその影響で土地の紛争や社会的不安が引き起こされる可能性を懸念事項として強調する。
紛争は進行中の和平交渉に影響を与える可能性がある。LIOH及びMyanmar Alliance for Transparency and Accountability(MATA)によると、「新たな法律は、政府と民族武装組織が行っている和平交渉に深刻な影響を及ぼすだろう」とのことである。法の施行を直ちに中止するよう求めた声明は、346の社会的組織からの支持を集めている。
改正法22条b項によると、空地、休閑地及び未開墾地(以下VFV地)に居住する人々は3月までに30年間の土地利用許可を申請しなければならない。そうでなければ、「不法占拠者」とみなされる。。しかし、もし申請をしたならば、彼らは自主的に土地の合法的権利と所有権を放棄し、国家による土地の集中管理を受け入れることになる。
たとえ農民が登録しようとしたとしても、彼らの大部分は所有する地域を管理するための経済的手段を持たないか、あるいは登録に充分な財源を持っていないということを行政に示すだけである。その上、申請が必要となる多くの者は、容易に土地登録サービスにアクセスできない高地地域に住んでいる。
法律の適用を受ける土地面積の不明確さは別の問題をも引き起こしている。2018年11月に公表された41の民間団体による公抗議書によれば、「VFV法の適用を受ける土地の境界が明確ではなく、何百万もの人々にとって自分の土地がVFV地と見なされるのか登録を申請する必要がある土地なのか判断できない」と述べられている。
政府の推定によると、VFV地の総面積は約5,000万エーカーに達する。ミャンマーの領土の約3分の1を占めるVFV地は、チン族、カチン族、カヤ族、カイン族、モン族、ラカイン族、及びシャン族の7つの民族国家の75パーセントを占めている。

土地の損失
この改正案はまた、武力紛争による国内避難民(IDP)のような難民を考慮に入れていない。
「我々はただ自分の土地を取り戻したいだけである」と、Waingmaw地区へ他の国内避難民と共に移住したカチン州の農民であるDaw Ywe Sont氏は述べる。政府がVFV法を施行しようとしている今、彼らの土地返還への希望は薄れつつある。
「国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、2018年11月の時点で、カチンとチンの人々のうち100万人以上が国内避難民であり、その結果としてカチンとシャン北部に172の国内難民地区があるとされている。
「社会的立場が脆弱であるため、難民と国内難民には、住居、土地、財産権を保護するための特別な対策が必要である」とノルウェー難民評議会の情報、カウンセリング及び法的支援の専門家であるJose Arraiza氏は述べた。
2016年1月、Thein Sein政権は、国境地帯で迫害される地域社会住民の権利を保護するために、国家土地利用方針(NLUP)を起草した。規定には、慣習的な土地の権利を認め保護するだけでなく、国内難民の帰還支援も含まれていた。
しかし、2018年の改正は、「2016年の国家土地利用方針と民族の国籍回復又は土地使用権に関する規定という重要な要素において矛盾する」とArraiza氏は述べる。

予想される紛争
結果として、専門家たちは土地紛争の増加を予測している。「国会議員は、本改正は企業による土地の権利の濫用を防ぐために用いることができると説明したが、VFV法及び他の法律にはすでに農家に対して広く適用されている規定がある」とEarthrights Internationalの法務副部長、Ben Hardman氏は述べた。「現実には、この改正により、2019年3月から、多くの農民や地域社会住民が何世代にもわたって使用してきた土地について自動的に不法侵入者となる」
LIOHとMATAによると、農民に対する土地明渡しの事件と訴訟数が改正前のVFV法の施行以来劇的に増加したという証拠があると言われている。そして今、法律の改正は、投資家や投機家のための土地市場の創設を支持して、「全国の民族から土地を奪うための努力」を急いでいる。
ミャンマー社会が直面している規制と壊滅的な影響に対する国民の認識を高めるために、2018年11月11日以来、LIOHはその他の多くの市民団体とともに、VFV法の完全廃止と民族地域社会の尊重及び保護を求める運動を開始した。政府は憤慨し、LIOHとの会談を延期したとミャンマータイムスは認識している。
農業省下の国家土地利用評議会とVFV土地管理中央委員会はコメントを行わなかった。
(Myanmar Times 2019年1月21 日版 第4面より)