Amnestyによる報告後、キリンが寄付方針を再構築

Amnesty Internationalの報告書が日本の醸造業者キリンによるミャンマー軍への寄付を明らかにした後、同社は寄付方針を厳格化し、自社の活動に対する人権影響評価の向上に取り組んでいる。
寄付の結果、キリンはFacebookやVisaと並んで、ミャンマー軍と取引をしている国際的な企業を示すBurma Campaign UKの「The Dirty List」にも記載された。国連の事実調査団によると、ミャンマー軍はラカイン州の戦争犯罪とも関与している。
Amnesty Internationalが2018年6月にキリンの子会社であるミャンマー・ブルワリー(MBL)についてミャンマー軍へ寄付していると発表した後、キリンは調査を行い、12月14日に最新情報を発表した。その際キリンは6項目の行動計画も発表した。
同社の計画には、ミャンマー・ブルワリーによる寄付の停止、寄付方針の厳格化、新たな寄付方針が遵守されていることを確認するための定期的な内部監査の実施、及び外部の独立したコンサルタントによる、その事業の人権への影響評価の実施が含まれている。
ミャンマー・ブルワリーは2018年9月1日から10月3日の間に人道支援目的で3回、合計3万米ドルの寄付を行ったとしているが、Amnestyは報告書の中でそれが軍への寄付であったことを指摘している。
これに対して、キリンは2018年6月にラカイン州政府に2回の献金、米と食用油の現物寄付の3回の寄付を行ったことを明らかにした。
同社は、2回の献金については直接民間人に手渡したため、これが軍に寄付される理由はないと考えていた。
しかしながら、ミャンマー・ブルワリーはその献金が2017年9月1日に首都ネピドーで行われた式典において、軍の最高司令官であるMin Aung Hlaing氏に渡された6000米ドルの寄付であると認めた。
キリンはその後調査を開始したがその金額が実際に軍事的目的で使用されたかどうかを「明確に特定することはできなかった」。
2017年8月に始まったラカインの難民危機のため、ヨーロッパの投資家がミャンマーでの投資拡大計画から後退したことでこの動きが起こった。
いくつかの大手国際企業もまた、ミャンマーで事業を行うことに対し株主からの圧力に直面している。キリンがミャンマーでの行動を変えるのは不思議ではない。
「問題は、キリンのビジネスパートナーが大量虐殺について国連から非難されていることである。キリンが軍隊と取引をしている限り、ミャンマーで活動できる道はない」と、 Burma Campaign UKの代表であるMark Farmaner氏は語った。
アジア人権監視部副部長を務めるPhil Robertson氏はキリンの国際ブランド力は「ミャンマー軍との関与によってひどく傷つけられている」と述べた。
今回の調査に関連して、キリングループのNobuhiko Hiro氏は電子メールにより「ミャンマーで事業を成長させ、経済的・社会的発展に貢献するため、常に理解を深め、システムを改善し、安全性を高めるために努力している」と述べた。
(Myanmar Times 2019年1月11日版 第8面より)