国内小売り企業は経済発展の減速に伴い外資系企業との競争に難色を示す

国内の小売及び卸売業を外資系企業に開放することは投資家の関心を高めることになったが、商務省(MOC)の動向に対する国内企業の懸念も高まった。
最も懸念されているのが外資系企業との競争である。国内中小企業や家族経営の小さな店と直接競合する外資系企業に制限が課されるべきだという声も実際に国内小売業者から上がっている。
ミャンマーにはおよそ300万店の小さなコンビニエンスストアがある。「これらの店舗の所有者はMOCの新しい通達に気づいていないかも知れない。例えばセブンイレブンのような大手小売りチェーンが参入してくれば、それらの店舗はとても大きな困難に直面するだろう」と、ミャンマー小売業協会(MRA)で通信及び会員問題副会長を務めるU Myo Min Aung氏は述べた。
海外との競争
外資系チェーン店はミャンマーにおける事業拡大の機会に目を向けている。9月3日、International Finance Corporation (IFC)は、ドイツに本拠を置くMetro AG社及びシンガポールの上場企業であるYoma Strategic Holdings社が85:15の資本比率で設立する卸売り企業であるMetro Wholesale Myanmar Limitedに対しおよそ2500万ドルを貸与すると発表した。
「同社は国内の物流インフラを改善し、末端消費者向けの高品質な製品の価格を下げることが期待されている」とIFCは述べている。
MOCの貿易部門長を務めるU Yan Naing Tunによれば、日本、タイ及び韓国の卸売り及び小売業者はミャンマーでも事業を拡大したいと熱望しているとのことだ。
潜在的な機会についてMOCと会合を持った企業の中には、2016年にHypermart Asia Coが運営するスーパーマーケット14店舗を買収し、国内合弁企業の株式を保有する、日本の小売業者イオンがある。イオンオレンジ社は同年9月、ヤンゴンのNorth Okkalapaで最初の店舗の運営を開始した。
このレベルの国際競争がもし起きれば、企業がドルとチャットの為替レートの上昇による圧力に既に直面している場合にもそれは容赦なくやってくるだろう。5月以降、MOCが部門の自由化を初めて発表した際、チャットはドルに対する価値が約10%下がった。
チャット安は輸入品の価格及び国内の製造業で使用される部品に大きな影響を与える。一方、国内でインフレが徐々に進んでいるため、消費者は生活費を切り詰め、支出を削減している。以上が全て小売業に悪影響を及ぼしている。
「為替相場の上昇により商品価格が上昇したため支出が減少し、小売市場は停滞している」とU Myo Min Aungは述べた。
政府援助
MRAは、政府は経済支援を提供し、より脆弱な小売業者を保護するため外国投資家に対する規制を導入すべきであるとの見解を示した。
「我々は国際競争に直面している国内企業により多くの支援を提供すること及び必要に応じた金融支援を政府に対して望んでいる」と、MRAのMa Tin Su Hlaing副会長は述べ、国内企業は貿易及び税金に関する政策についての情報及び教育も必要としていると付け加えた。
「国内企業は、外国企業との競争に耐える準備がまだできていない。より良いインフラ、経済支援、技術を手に入れたときに準備がが整うだろう」と彼女は述べた。
これまでのところ、小売及び卸売部門には外国投資の大きな流入がまだない。「国内の小売業に参入している投資家もいるが、有名ブランドや大企業はまだミャンマーに入ってきていない」とMa Tin Su Hlaing氏は述べた。
この部分において、国内市場において外国人による販売と流通サービスを可能にすることの目的は、より競争力のある価格と品質の選択肢を消費者に提供することであるとMOCはいう。
MOCは5月9日に、外資100%の企業と国内外の投資家との合弁企業に対して小売り及び卸売業を営む権限を与える旨の通達25/2018を発行した。
新規則の下では、外資100%の企業はミャンマーで小売り及び卸売業を運営するためにそれぞれ300万ドル及び500万ドルの初期投資を行わなければならない。一方、海外と国内投資家の合弁企業は少なくとも20%の自己資本比率を持ち、小売り及び卸売業に必要な初期投資はそれぞれ70万ドル及び200万ドルである。
7月26日、MOCは貿易が認められる製品のリストも発行した。
製品リストは特定の情報を提供し、ミャンマーで取引が認められる製品の種類を明確にすると述べた。このリストには衣類、時計、化粧品を含む消費材、農産物、海産物、畜産品、インスタント製品のような食品、飲料及び国内産の酒類、家庭用及び台所用品、薬品及び医療設備、自動車及び自動車部品を含む24製品が記載されている。
小売及び卸売業登録に関する標準作業手続き(SOP)もまた発表された。SOPには業種、小売及び卸売業の手続き、最低投資額、土地面積、店舗や企業を開設する場合の登録機関の指定が含まれている。
(Myanmar Times 2018年9月14日版 第6面より)