Facebookが軍の司令官のアカウントを「憎悪と誤報の広がりを防ぐため」として凍結

Facebookによる、軍事関係者と組織のアカウントの凍結は国連人権理事会の事実認定任務による国の軍事指導者の嫌がらせ報告の公開と同時に起きた。Facebookが軍事関係者をブロックするのは全世界で初めてのことである。
8月27日、カリフォルニア州に本社を置くFacebook社は、ミャンマーの軍部長並びに19の個人及び組織のアカウントとページを凍結し、「民族的、宗教的緊張をさらに和らげるためにサービスの利用を停止する」と述べるとともにFacebook使用を禁じた。Facebookアカウント18件、Instagramアカウント1件、Facebookページ52件(約1,200万人がフォロー)が削除された。具体的には、46ページと12件のアカウントが「真実でない振舞いに加担している」として削除された。これらのアカウントおよびページのデータは同社によって保存される。
Facebook社は「行動に移すのが遅すぎた」と認めながらも、「差別発言を識別する優れた技術、改善されたレポートツール、より多くの人々がコンテンツをレビューするシステムの構築など、我々は進歩を続けている」と述べ、「この措置はFacebook上の憎悪や誤解の拡散を防ぐことを求めるものだ」とした。
ウェブサイトの検閲者として行動しているのかどうかを尋ねられた際、広報担当者は同社が「Facebook上で行われるこの種の行動を望んでいない」と答え、「悪質なコンテンツや人物から我々のサービスを守るため、人と技術の両方に多大な投資をしている」とつけ加えた。
「我々はアカウントのネットワークを作っている人々及び組織には世間の目を欺くような「なりすまし」及び「ごまかし」をさせたくない。そして、我々はサービス利用者が民族的及び宗教的緊張をさらに強めることを望んでいない」と広報担当者はMyanmar Times紙に語り、Facebookはミャンマーにおいてプラットフォームの誤用を防止し、コミュニティを安全に保つよう努力を続けると付け加えた。
Facebookはソーシャルメディアとデジタル環境を支配しており、軍、政府はどちらもこのプラットフォームを使用して主要な発表を行い、民衆と繋がっている。
軍のリーダーに対する最も強い制裁
「Min Aung Hlaing将軍を標的にしていない、この危機に対応した国際的な制裁の弱さを考えると、Facebookページを閉鎖したことは恐らく彼がこれまでに直面したものの中で最強の制裁であっただろう」と、Burma Campaign の責任者であるUKMark Farmanerは述べた。
同氏はこの動きを「機は熟しており、歓迎する」としたが、ミャンマー国内で最も広く行き渡っているメディアプラットフォームはラジオで、「軍が停止するまで宣伝は止まらない」と述べた。そして、ソーシャルメディアを使用するのは人口の約20%であるが、約90%の国民がラジオを聴いていると付け加えた。
「Facebook社は軍のアカウントを削除するためにより速く行動するべきであったが、結局のところ、主要な問題はFacebookではなく、軍と政府にある。彼らがFacebook上に掲載したものと同じプロパガンダは、Facebookよりも大きなリーチを持つ国営のラジオ、テレビ、新聞にも掲載されている」とFarmaner氏は述べた。
地方自治とアセアン問題に関する熟練ジャーナリストのKavi Chongkittavorn氏はFacebookが軍関係者と政治家のアカウントを停止したのは初めてのことだと述べた。
国内での民族紛争に関する「厳しい批判」に続けて、「Facebookはプラットフォーム上で作成され認証されていない情報を許さないという強い信念を表明しようとしている」と同氏は述べた。
ロイターによると、大手ソーシャルメディアが軍や政治家を初めてアカウント停止にしたと確認したとのことである。
事実認定任務
Facebookは今回のアカウント停止を発表したブログの記事で、ミャンマーに関する報告書を発表した国連事実調査団に対し、8月27日、直接訴えたと公表している。
「国連人権理事会認定のミャンマー事実認定調査団の直近の報告書によって、個人及び団体の多くが国内で深刻な人権侵害を犯した、またはそれを可能にしたという証拠を突き止めた」と同社は述べた。
ミャンマー人権委員会のRichard Weir氏は、ミャンマー政府の人権侵害行為の証拠とFacebookのプラットフォームが大きく貢献した事実認定調査団の報告書が時期的に一致しているとMyanmar Times紙に述べた。それゆえ、この決定は「Facebookのプラットフォームが果たした役割に気づき、それが表面化した」と言える。
「閲覧すべきページを理解させるようにするなど、ミャンマー国内のインターネットリテラシーの向上を含め、取り組むことが可能ないくつかの行動がある。ポリシーに違反する可能性のあるコンテンツの報告を容易にするための行動は重要だが、それはあまりにも些細で、時間がかかり過ぎる」とWeir氏は述べた。
この報告書の中で、Min Aung Hlaing将軍は「ラカイン、カチン、シャン州での非人道的行為及び戦争犯罪だけでなく、ラカイン州北部の虐殺について、取り調べを受け起訴されなければならない」と国連事実認定調査団は述べている。
20の個人及び組織がアカウント停止
Myanmar Times紙はFacebookの代表から停止された20件の個人と組織のアカウントを聞き出した。国防総省司令官事務所のMin Aung Hlaing将軍、Soe Win副将軍、Khin Maung Soe准将、Aung Aung准将、Than Oo准将、Aung Kyaw Zaw中将、Aung Myo Thu少将、Maung Maung Soe少将、Thura San Lwin准将、Thant Zaw Win少将、Tun Naing士官、国境警備隊員Kyaw Chay、Ba Kyaw二等軍曹、Khin Hlaing第99軽歩兵部隊長、Thant Zin Oo第99軽歩兵部隊員、第33軽歩兵部隊、第99軽歩兵部隊、Myawaddy(軍所有のテレビネットワーク)、Phay Sit Gyi氏らのアカウントが停止されたという。
USDPは懐疑を抱いている
Facebook社の決定は政府へ相談せずに行われたと大統領府の広報担当者U Zaw Htayは述べた。
「コミュニティ基準やそれに関する行動について我々はFacebook社に尋ねた。彼らがコミュニティ基準を持つ場合はそれに合致する行動をとるはずである。我々は同社との会談で、停止されたアカウントを元に戻す」とのことだ。
国内的におけるこの動きは、Union Solidarity and Development Party(USDP)によって懐疑的な見方がなされている。
USDPの広報担当者であるU Thein Tun Oo氏は「要するに、軍全体が差別的な発言をしているということは一方的な告発だ」と述べた。「軍は国家防衛組織なのだから停止されたFacebookページは国家である」。彼はこのアカウント停止に驚いていると付け加え、Facebook社には情報を公開する組織としてアカウントを回復するよう促した。
U Ye Htut元情報大臣は、この動きが政治的、武力的な紛争の解決や、国家への信頼を得るためのあらゆる努力に役立つかどうかについて疑問を呈した。
軍関連のFacebookアカウントによる投稿は「憎悪を広めるとは考えられない」とMyanmar Institute for Peace and Studiesの役員U Min Zaw Oo氏は述べた。このアカウント停止は研究者の研究能力を損なうものだとした。「研究者は軍のアカウントによって提供された情報に基づいて何が起きているのかを研究しなければならない」と彼は言う。
軍最高司令官室及び軍人議員達からはコメントを得ることができなかった。
(Myanmar Times 2018年8月28日版 第3面より)