市民権法の見直し、議論に拍車

1982年にビルマ社会主義計画党 (BSPP) が制定の市民権法は、通常の法律ではなく、全ての人種や安全保障に直接関係するものである。
8月24日のコフィ・アナン諮問委員会によるラカイン州の最終報告は、誕生から35年目となる当該法律は、国際基準およびミャンマーが署名済みの協定に合致せず修正の必要があるとして、見直しを勧告した。
法律の改正はミャンマーの人々の間で長いこと議論されてきた。 法律の専門家は、市民権法は軍政下においては最善と語る。 U Thein Sein政権下において、連邦団結発展党 (USDP) 議員が提出の、法の廃止と新法の制定を促す提案は、連邦議会で承認された。
35年目の法律は8章と76の条文からなる。当時、多くの改訂と挿入が必要と判明したため、廃止のうえ新法を制定する方がよいだろうと、当該提案の提出者、サガイン地区第7選挙区議員のU Tin Mya氏は述べた。
市民権法は、前大統領や前裁判長を務めたMaung Maung氏といった法律の専門家が起案したが、30年経ち、改正を行う必要があった、とU Tin Mya氏は最初の連邦議会で述べた。また、氏曰く、「近隣諸国の同様の法律を調査すると、インド、バングラデシュ、タイの法律と同様、中国の法律は非常に安定している。そのため我々は新しい法律が必要と決めた」。しかし、多くの議論の後に本提案は廃止されたと、民族代議員議員のU Hla Swe氏は述べた。

法律の改正
与党NLD党は、2015年選挙の前に市民権法を再検討し修正すべきだと述べた。9月4日、NLD中央委員会構成員のU Nyan Win氏は、政府と連邦議会は法改正の責任を負うと、本紙に語った。氏曰く、「政治的解決策のためには、市民権に関して国家公認民族に言及しないよう法律を改正する必要がある」。
コフィー・アナンの報告書は、「当委員会は、1982年の法律が現在の市民権の基礎であることを認識する一方で、政府による法律を見直す手続きの開始を勧告する。本見直しの一環として、政府は、連邦政府として、国際基準や条約と当法律とを提携させ、異なる種類の市民の差別を廃止することや、基本的なルールとして一般市民を無国籍にする市民権の喪失や取消はないことも含めて、法律の最適化を検討するかもしれない。合理的な時系列の範囲で、政府は、市民権法を見直す手続きの開始のための計画を提示すべきである。また政府は、新規または修正された法律が整備されるまで、既存の法律が差別のない形での解釈と適用を確実にするための暫定措置をも、提案すべきである。全ての市民の公平な扱いの確保のため、法律の見直しが必要である」と述べる。
委員会メンバーのDaw Saw Khin Tin氏は、「委員会内のミャンマー人構成員の6名全員が法律を直ちに廃止することはできないと言った。その法律は今日でも有効であり、当該法律に基づいて検証が行われなければならない」と述べた。曰く、「現時点では、1982年の法律に基づいて検証を行う必要がある。それは依然として有効な法律であり、堅牢な法律なくしては何もできない。私たちはこれをムスリム社会にたびたび説明してきた」。

起案に6年
国際法と比較して弱点があるかもしれないにも拘らず、1982年の法案の作成に6年を要したが、アナン氏の報告書のリリース後、労働・入国管理省のU Thein Swe大臣は、現時点で修正の計画はない、と述べた。
この法律は、1948年の連合市民権法 (Union Citizenship Act)の改正後に制定された。この法律によれば、英国の植民地時代以前にミャンマーに住んでいた部族は、国家の民族と定義されている。
史実記録によると、Aung San将軍、つまりDaw Aung San Suu Kyiの父親は、英国がミャンマーに連れて来た外国人に市民権を与える約束とともに独立を回復しようとした。それはU Ne Win体制の下、いわゆる手続きに繋がるルールの段階を踏まずに制定された、と前連邦法務長官府副長のU Kyaw Sein氏は言った。
ミャンマーの法的文書は、(重要度の高い順から、)憲法、法律、法令、規則、附則、規制、通知、命令および指令として分類される。1982年の法律では、市民、連合市民、帰化市民または外国人として分類され、最初の規則の定めなしにそれぞれの手続が制定された。
「法の制定後は、『規則』をまず規定し、次に『手続き』を定めなければならない。BSPP政権の間は、彼らは最初にU Ne Winに提出せねばならなかったため、過程における『規則』部を飛ばしていた」とU Kyaw Sein氏は述べた。
2016年3月、現行法の見直しのため、連邦議会法務・特例審査委員会が結成された。委員会の構成員でもあるU Kyaw Sein氏は、市民権法の改正は州の政策に関連すると述べた。氏曰く、「非常に大きな問題で、容易でないため、法改正の議論はない」。意見は議員間でも異なり、一部の政党や民族グループはそのままにしておくことを望んでいる。

全員に市民権を
ミャンマー弁護士ネットワークの高等弁務官弁護士U Thein Thin Oo氏は、市民権は全ての者に与えられなければならず、そのとき法律は国際的な規範に準拠する、と語った。
全ての市民権法において国益は常に優先するので、ミャンマーは市民権法を望む通りに制定可能である、と法律の専門家たちは言った。
ヤンゴン地区の弁護士にして高等裁判所の弁護士のU Htay Oo氏は、ベンガル人に市民権を付与する法改正に反対し、そうした動きを無責任と呼ぶ。「法律の改正は後退である。緩めれば、バングラデシュとの国境のみならず、中国との国境にも悪用されるだろう。不用意に修正すれば、国家を傷つけるだろう」と彼は述べた。
法律専門家と議員の何人かは、1988年のデモ後にミャンマーの市民権を失った人々の市民権の回復が可能になるとして、このような改正を歓迎する。
「ロヒンギャは135の民族のひとつとして公認されていないが、市民となり得る。U Razakはインド人だったが、我々は毎年殉教者の日に敬意を表す。国民と市民は異なる」と、U Hla Swe議員は語った。
(Myanmar Times 2017年9月8日版 第5面より)