政府は新しい電子通関システムに苦慮、国境貿易はいまだ紙ベース

ミャンマーの新しい自動通関システムがヤンゴンの港で導入され、稼働されているが、初期トラブルによって貨物の通関にかかる時間は短くなるどころかむしろ長くなった。一方、 新システムはヤンゴンの港に限らず全国的に採用されているが、インターネットアクセスとスタッフへの教育が不十分なため、全国的なシステムの稼働は現在停止されており、国際貿易会社は、もう一年紙とペンで申告をする必要が出てきた。
新たに開発されたミャンマー自動貨物清算システム(MACCS)がヤンゴン地域において11月12日に導入された。しかし、試運転を経て不具合を解消していたにもかかわらず、MACCSによって通関時間が短縮されることはなく、かえって長くなってしまった。
国際貿易企業のCEAプロジェクトロジスティクスは、昨年12月に顧客に対して、MACCSによってヤンゴンの通関業務がさらに長くなっていると注意喚起するメールを送った。
「導入当初から比べて改善が見られたものの、オンライン通関部門は引き続き新しいシステムに適応している最中であり、必然的な遅れが生じている。」と同社は語った。CEAによれば、 ヤンゴンにあるすべての港で、通関手続きは、15~20営業日かかり、空港では12~15営業日かかるということであった。
同社は昨日、ミャンマー・タイムズ紙に対し、「徐々に改善してはいるが、まだ遅れは出ている」と語った。
MACCSが発足してから数週間後に輸入した企業の中には、インターネット接続が不十分であり、スタッフが訓練されていないことに苦情を申し立てる企業もあったがが、その一方で、システムの導入後しばらくは我慢しなければならないことをわかっていた企業もあった。
匿名希望の税関当局者は、今週のミャンマータイムズ紙に対し、確かに職員の訓練は不十分であるし、様々な「不便」が輸入業者からの多くの苦情を引き起こしていると語った。
すでに2ヶ月近く稼動しているにもかかわらず、当局は1月6日になってやっとMACCSとミャンマー税関情報システム(MICS)の立ち上げ式を開催した。
MACCSの設計者であるWin Thant氏は、このシステムはあらゆる国境貿易に使用できるように設計されているが、来年までは他の国境地点では採用されることはないだろうと述べた。
「Myawaddyの国境地帯において、既に(タイと)調査を行っている。 しかし、現時点では(MACCSは)使用できません。 2018年には国境を越えてシステムを利用できるようになると考えています。」
Win Thant氏は、インターネットアクセスとコンピュータが不足しており、かつ税関職員やトレーダーに対して特別な訓練をする必要があるため、国境地帯でMACCSを採用するのには時間がかかると指摘しました。
このシステムは、貿易は促進し、政府の税金徴収を容易にするために作られているとKyaw Win国家計画財務大臣は立ち上げ式において発言した。「現在このシステム(MACCS)を実装して使用することは可能ですが、スムーズに使用するには依然多くの困難や課題が残っていることは確かです。」
輸出入プロセスには実に多くの行政部門が関わっている。税関職員によると、許可証と免許証は商務省が提供するが、食品医薬品輸出は食品医薬品局によって検査され、特定の農産物はミャンマー植物保護課の管轄にあり、漁業省は漁業輸出の検査に関与しているとのことである。多くの部門との調整作業を改善することは容易ではない。
また、輸出業者と輸入業者はMACCSを通じて税金と関税を支払うことになるが、MACCSと金融機関のシステムとの連動性にも問題がある。
Win Thant氏は、「銀行システムにリンクすることは不可欠だ」と述べた。しかし、このリンクは当初の計画では予定されていたものの、技術的な問題は今のところ棚上げされているということだ。
「我々は中央銀行と協議中で、銀行システムとのリンクを延期することで合意した」と同氏は述べた。 「プロセス全体が円滑に進めば、その後システムをアップグレードし、銀行システムにリンクする予定である。」と述べた。
(Myanmar Times 2017年1月10日号 第5面より)