米国、更にミャンマーのAsia Worldを対象とし制裁を延長

米国は昨夜、Steven Law氏のAsia Worldなど新たな対象を追加し、ミャンマーの企業や個人を対象とする制裁を延長したと発表した。なお今回、制裁対象から外れた国営企業などもある。
米国財務省の外国資産管理局(OFAC)は、国営企業7社と国営銀行3行を「特別指定国家及び人物リスト」(SDN)から除外した。
「個人や企業、軍を対象とした圧力を維持し、更なる民主的改革を奨励するために、ある程度の制裁は維持する」と発表した。
OFACはSDNリストに、Steven Law氏及びAsia World社が50%以上所有する6社を追加した。
「言うなれば、これらの行動は、ミャンマーの継続的な政治改革や幅広い経済成長に対する政府の支援の一環であり、必要な制裁圧力は維持するも、民間セクターにおいてはミャンマーへの効果的な関わりをより明確にしている」とOFACは述べた。
ある米国政府職員は、今週初めにアウンサンスーチー氏からの勧告に沿って決定を下したと述べた。ヤンゴンの外交官は、民間主導の政府は軍とその関係事業主らに対して融資を続けるつもりのようだと話す。
アウンサンスーチー氏は選挙で勝利して以来、公に米国制裁の継続に対して賛成も反対も示していない。
米国企業は、制裁対象の企業や個人に限らず広く米国の投資と貿易に損害を与えるとして、5月20日に期限が切れる予定だった制裁の終了を求めるロビー活動を続けている。国際人権団体は、軍による人権侵害を抑制する効果があると延長を呼び掛けている。
OFACは「ミャンマー在住米国人との関連取引の許可、貿易に関連する取引を承認する既存のライセンスの拡大と延長、特定の銀行サービスを許可する既存の一般ライセンスの更新」といった一般ライセンスを追加することで経済界の圧力に対応した。
指定を解除された国営企業7社は次の通りである:Myanmar Timber Enterprise, Myanmar Pearl Enterprise, Myanmar Gem Enterprise, No 1 Mining Enterprise, No 2 Mining Enterprise, No 3 Mining Enterprise, Co-Operative Export-Import Enterprise
また次の国営銀行3行も制裁リストからはずされた:Myanma Economic Bank, Myanmar Foreign Trade Bank, Myanma Investment and Commercial Bank
「これらの解除は米国の外国政策目標を支援し、ビルマの状況の変化を認識している表れである。削除された企業は民間省庁のもと再編されるか、存在しないものである」と米国は発表した。
Asia WorldやSteven Law氏により50%以上所有されるとされる6社はAsia Mega Link Co、Pioneer Aerodrome Services Co, Green Asia Services Co, Global World Insurance Co, Shwe Nar Wah Co,である。
米国内にある以上の企業の資産や資産から得られた利益、米国人が所有あるいは管理するこれら企業の資産及びその利益は凍結されることになると、OFACは述べた。
「ヘロインのゴットファーザー」として知られる富豪で麻薬密売組織のボスであるLo Hsing Han氏の息子であるSteven Law氏はミャンマーで最も人脈のある権力者の一人といわれている。中国国境の反ミャンマー地域であるコーカン出身のHailing氏は、2008年以降米国財務省から制裁を受けている。彼は前軍政と密接な関わりを持ち、港湾や空港から貿易、採鉱、水力発電事業に及ぶ大企業を牛耳る。
OFAC職員によると「ビルマの個人と企業に対する制裁の継続は、ミャンマーの政治改革の障害となるもの、人権侵害を侵すもの、また北朝鮮との軍事貿易につながるものを主な対象としている」、過去4年間に渡りミャンマーに対する制裁が「大幅に」緩和されることはなかった。
ある軍将校は、米国は国益のために行動していると主張する。
彼は北京の天安門事件の後、1989年に米国は中国に対して厳しい制裁を課したが、3年後に米国政府は利益につながらないとして制裁を解除したことを指摘する。
米国への経済利益が非常に少ないため、20年以上もの間米国はミャンマーへの制裁を維持してきたと彼はいう。
「制裁を解除する決定の方が、彼らにとって良いだろう。しかし私は制裁に特別な意味はないと考える。私たちは数年間制裁対象となっていたが悪い影響はなかった。私たちは自身でやっていくことができる。米国は人権を理由に制裁を延長したが、この理由は私たちにとって殊更ではない」とこの将校は述べた。
米国制裁には武器の販売及びルビー、翡翠の米国への輸入禁止が含まれている。
上級米国政府職員は、制裁継続の最も重要な目的は「移行がまだ完全に完了していないことを認識させるためである」という。ミャンマーの民主化はまだ途中で、民主化への移行を邪魔する企業や個人もいると彼は述べた。
ミャンマー軍は先の選挙で活躍したが、4分の1の議席や副大統領と3人の大臣という「過度な勢力」が残っている。この状況はミャンマーの民主化への完全移行の妨げとなっていると彼は付け加えた。
個人で制裁リストからはずされたものはいなかった。
米国職員は、「リストからの削減手続きを精力的に続けていく」と述べた。
(Myanmar Times 2016年5月18日版 第3面より)