外国人が初めてミャンマーの不動産市場にアクセスできるようになる新コンドミニアム法は広く歓迎されているが、専門家によると今のところ条件を満たす不動産は一握りしかないようだ。
2つの議会間で議論が繰り返された同法は2016年1月22日にようやく通過し、6階以上のコンドミニアムの40%まで外国人が購入することが認められ、停滞している不動産市場が持ち上がることが期待される。
しかしここ数年でヤンゴンに建設された新しい高層住宅の多くが、法律に規定された条件を満たしていないと専門家は指摘する。
ヤンゴンの高層住宅事業の多くがBOT(Build-Operate-Transfer)方式で外国人投資家が建設したものだ。
ミャンマー不動産協会(MRESA)の副会長Than Oo氏によると、このような公民合弁企業の建築物は同法でコンドミニアムとはみなされない。
「BOT方式に基づいて、ディベロッパーは政府から土地を借りる。つまりディベロッパーが土地を所有していないので、居住者もまた所有することは出来ない。彼らは政府との契約の条件に基づいて居住しているのだ」という。
「これは新しいコンドミニアム法にいうコンドミニアムではなく、私有地に建設される大規模事業の建物がこれに該当する。しかし、国有地に建つ多くの建物がコンドミニアムとして販売されている。これらの問題を解決するには時間がかかるだろう。」と法律がないよりはある方がましであると言いつつもThan Oo氏は懸念する。
ほかにも建設中あるいは建設済みのアパートがコンドミニアムとして販売されているにも関わらず、新法の基準を満たしていないそうだ。
ミャンマー建設企業協会の副会長Ko Ko Htwe氏は、同法はアパートや他の形態の住宅をカバーしていないという。建設、不動産業界のiMyanmarHouse.comが先週開催したセミナーで、同氏は「実際ミャンマーにある10のコンドミニアムのみが法律の基準を満たしている」と述べている。
一方、下院法案委員会の秘書官Saw Hla Htun氏は、1987年の不動産譲渡制限法に基づき建設省が外国人への不動産の販売を管理していることを指摘する。
「1987年の法律によると、省は必要とされる場合外国企業や大使館職員に販売することができる」と彼はミャンマータイムズに語った。
外国人や外国人所有の企業に不動産譲渡を禁止する同法は、「関連省庁は外国政府に対し外交業務での使用を許可し、あるいは他の個人や団体に対し適用除外を認めることができる」とも定めている。
2016年1月22日現在、全ての民間企業は、法律に基づくコンドミニアムであることと外国人に販売できることを確認するため現地当局とMICのみならず、建設省の許可も得なければならない。
その一方で、業界関係者は既に外資の流入に関して神経質になっている。MRESAの一般秘書官Moh Moh Aung氏は、市場がすべての人に開かれた場合、問題が起きるだろうと考える。
「外国人がコンドミニアムを所有できるようになることは良いことだが、ミャンマーに数年間住む人なのかそうじゃないのか、外国人の種類による。新しい法律のポイントは不明確で、国内のビジネスに混乱を引き起こすだろう」と彼女は述べた。シンガポールでは、永住権を持つ外国人のみ不動産を購入することができ、「ミャンマーのコンドミニアム法もこのようにすべきだ」と彼女はいう。
ミャンマーでの永住権付与は1年前に始まったばかりで、外国人専門家、技術者、投資家、元ミャンマー国民、国民の配偶者に資格がある。
Moh Moh Aung氏はまた新しい法律に基づき、外国人は販売税の5%を支払う必要があると注意した。「来年度の新しい税法によると、住民は15%から30%の販売税を支払はなければならない。これは、私たちが外国人以上に税金を支払わないといけないことを意味する」と彼女は述べた。
新コンドミニアム法に基づくコンドミニアムとするには、20,000フィート(0.5エーカー)の土地に建設しなければならない。Moh Moh Aung氏は交通事情の悪化につながるとこれを問題視する。
「同草案では、コンドミニアムは最低1エーカーの土地に建設しなければならないとされたが、実際には半減した。これでは十分な駐車場スペースをとれなくなるためヤンゴンの交通事情を維持することは出来ない」。
道路網の未整備や公共交通機関の老朽化、公共駐車場の不足から、ヤンゴンの渋滞はますます悪化している。
ヤンゴンで1エーカーの広さの土地は少ないため今回の決定に至ったようだ。Saw Hla Htun氏は「現在コンドミニアムの需要は高まっている。1エーカーの土地という条件を守ることは難しいと考えられるため、0.5エーカーに条件を下げた」という。
不動産業者は、新しい法律が市場回復につながると期待している。「現在、コンドミニアムに対する現地バイヤーや外国人テナントの需要は激減している」とShwe Kan Myae不動産会社のKhin Maung Aye氏は述べた。「法律が通過した今、私はコンドミニアムだけでなく不動産全体の需要が回復すると期待する」。
(Myanmar Times 2016年2月3日版 第9面より)