真の改革におけるミャンマー国営企業変革の必要性

ミャンマー国営経済企業(SEEs)は膨大な量の公的資金を管理している。近年では、政府歳入の60%以上をSEEsが費やしている。これは政府が病院の建設、道路整備、教師の給料の支払いなどお金を使う機会があるごとに、国家予算に計上される前にSEEを通じて支払われていることを意味する。さらには、これらの企業は通常の予算プロセスの対象ではない不透明な口座に何兆チャットに上る規模の巨額の資金を蓄えているようだ。国民民主連盟政権が公共部署の機能を向上させ発展させるには、まずSEEの改革を行う必要がある。
まずは石油・ガス業界におけるSEEを適確に管理しなければならない。この業界は経済成長をもたらす可能性があるが、違反と汚職の傾向がある。
ミャンマーの継続的な経済発展には同業界への投資をさらに呼び込まなければならないが、石油・ガス国営企業はすでに公的資金に対するかなりの影響力を持っている。今年の予算によると、MOGE(Myanma Oil and Gas Enterprise, 石油・ガスの掘削業)、MPE(Myanmar Petrochemical Enterprise,石油精製業)、MPPE(Myanmar Petroleum Products Enterprise,石油製品流通業)は全歳入の19%を担う見込みであり、全歳出の14%を占める。
これら力を持つ企業の最大手は、ミャンマーの石油・ガス業界で海外企業のライセンスを持つMOGEである。同社の国家予算に与える影響は類を見ない。財務省が示す指数では2012-13年、MOGEは歳入の16%、歳出の10%以上を占めていた。
MOGEは主に民間及び国際石油企業との製品共有契約に参加することで収入を得ているが、その構成の詳細は明らかになっていない。またMOGEの支出についても使途が不明確である。
他の産業セクターにおけるSEEも同様ではあるが、政府はMOGEに資産管理も含め寛大な自治を認めている。財務省によると、メインの「国営口座」に純利益の45%を入金し、鉱山に関連する原材料費用を支払えば、各SEEは残金を特別な「その他口座」に蓄えることが認められている。最近、ミャンマー採取産業透明性イニシアティブ(MEITI)はMOGEが2013-14年会計年度だけで「その他口座」に14億米ドル以上を預けていることを公表した。
この数字はミャンマー政府が同年に保健に使用した額(7億5,000万米ドル)以上であり、全国教育費(11億米ドル)と同額である。「その他口座」に蓄えられた長年の総合額は明かされていない。
私たちはMOGEがこのお金をどう使用するのか知らない。単純にお金が口座にあっただけなのか。他の投資のためにお金を使用するのか。明確な答えはない。「その他口座」に入金する大義名分はSEE自身の資金で経営を行うためである。会社が徐々に備蓄口座を強化させることができるこの形態は、他のセクターのSEEにより適しており、より少額で生産性の高い価値創造を担っている。公共資源の販売によって巨額の資金を受け取る採取産業SEEsには適していないように思える。
更に懸念されることは、天然資源及びこれによる収入の管理を正式に制御することに欠けていることである。MOGEとミャンマーの他の採取SEEsは政府監視の対象になっていない。政府によると、SEEsがこれら「その他口座」にある資金をどのように使用しているかいくぶん管理しているというが、この管理の実態は不透明なままである。
また財務省は公的資金の管理を担う他の政府機関と比べて、SEEsの支出や活動の詳細な情報を入手することに苦労している。強力な監視の欠如はまた、SEEsがより有能な企業となる可能性を弱めている。
次期NLD政権が「透明性の高い公共資金管理システムを構築する」「採取事業は確実に透明性を持たせ計画し、国民に告知する」と選挙公約で述べた目標を達成するのであれば、MOGEや他の石油・ガス、採掘SEEsの改革は、急務である。最優先事項は、SEEsの歳入管理のレベルの再調査やSEEsに財務省への報告を強く求めること、SEEの役割や責任を法律によって明らかにすること、SEEsが「その他口座」の資金で行っていることを公開することである。
今まさに改革のときである。初のMEITI報告の公表は更なる開放のために踏むべき重要な段階であり、われわれミャンマーは厳しい企業統治基準と十分な商業戦略を築き上げたカンボジア、マレーシアといった国の国営企業の例から学ばなければならない。しかし発展の過程には障害は付き物であり、新政府は目標を持続することが重要である。
(Myanmar Times 2016年1月26日版 第7面より)