海外人材派遣会社はマレーシア政府からの“いじめ”に怒り、同国でボイコットすることを決定した。派遣会社の代表は、料金体系の変更を伴う新しい制度により人材派遣業界は独占されているとして、マレーシアにミャンマーの出稼労働者を斡旋しないという。
この膠着状態はミャンマー労働者を合法的に入国させる唯一のルートとなる「ワンストップサービスセンター」を立ち上げるというマレーシアの決定により生じた。しかし同センターはビザ手数料を、サービス料など含め6米ドルから57米ドルと約10倍に引き上げることを発表した。これは昨日から実施されている。
新たなシステムに基づくビザ申請のワンストップセンターの設立の指揮を取った事業責任者のMohd Fadzli Kadir氏は昨日ミャンマータイムズに、マレーシア政府はミャンマーの採用担当者からの圧力に屈する可能性は低いと語った。
「同計画はマレーシア政府により承認されている。彼らは料金を下げないだろう。派遣会社が労働者の派遣をやめるのであれば、それは自由である」と彼は述べた。ビザ手数料に関する決定はインドネシア、バングラデシュ、インド、中国といったマレーシア近隣諸国も対象となっている。
ワンストップビザ申請手続きサービスの唯一の提供者としてミャンマーで派遣会社を運営するDiamond Palaceの会長Thein Than氏は、同社には申請料を変更する権利がないという。
「しかし、申請手続きはより容易になり、申請者は偽造ビザを疑われることなく確実に承認される」と彼は述べた。
新しい計画により、労働者をマレーシアに派遣する全体の費用は、850ドルから650ドルへと約200ドル削減できる。同センターのおかげで、マレーシアのブローカーを通す必要がなくなり、マレーシアの雇用者と直接連絡を取り労働者を入国させることができる。
「私たちのサービスを利用してくれたら、ミャンマーの派遣会社が支払う手数料を減らすことができる。マレーシア当局は20万人以上の労働者が必要だと私たちに明かした」と彼は述べた。
Thein Than氏によると、同センターはマレーシア企業から寄せられた約20万人分の労働者要請書を精査している。更に質問を続けたが、企業名や職種など具体的な詳細は明かされなかった。
「私が今言えることはこれだけであるが、近いうちに正式発表する予定である」と彼は述べた。
ミャンマー海外人材派遣連盟(MOEAF)の採用担当者は、マレーシア政府だけでなくDiamond Palaceも売り込む信用性に高値はつけないと述べた。派遣会社オーナーの多くは、ワンストップサービスセンターが主張する200ドルのコスト削減は露骨な偽造であるという。
ある派遣会社のオーナーは、Diamond Palaceは廉価な出稼労働者で評判だといい、
「MOEAFは早急に連盟から同社を除名する予定である」と述べた。
ミャンマー労働省は、手数料の増額に関する相談はなく、マレーシアへの労働者派遣にかかる手数料850ドルを変更する予定はないという。
労働省の局長Myo Aung氏は、同省はマレーシア政府に手数料の増加の再検討を要求する文書を出し、問題への対処を促したという。外務省も同様の対応を取っていると、Sein Oo氏は述べた。
ワンストップセンターの独占が解決するまで、MOEAFはマレーシアでの無期限のボイコットを続ける予定であると、代理店部長Win Tun氏は述べた。
「私たちは台湾やオーストラリアに多くの新しい労働市場を見いだしており、マレーシアの代わりに労働者をそこに派遣することができる」と彼は述べた。
しかし台湾とミャンマーはまだ労働者の合法的なルートを開く覚書の締結に至っておらず、厳しいビザ規制と高額なコストのためオーストラリアを選択する労働者もわずかである。
MOEAFの会長Min Hlaing氏は、同連盟はワンストップセンターでのビザ手数料を12ドルにする提案をしていると述べた。
人材派遣会社Shwe Mandalar May社のオーナーKo Lay氏は、マレーシアがミャンマーを“虐げる”原因はミャンマーが貧困国であるからだという。「増額への弁明は何もない。彼らが手数料を引き下げなければ、私たちは労働者の派遣をやめるつもりだ」と彼は述べた。
労働省副大臣や人材派遣会社とサービス提供者のDiamond Palaceが出席する会議が本日ネピドーで開催され、ビザ手数料と独占について協議されると彼は付け加えた。
(Myanmar Times 2016年1月19日版 第5面より)