米国は、27年前に不適格とされたミャンマーに対する貿易特恵について再び検討しているようだ。
米国の一般特恵関税制度(GSP)は1974年に設置され、122の国と地域からの輸入品に対し関税免除措置をとっている。現在ミャンマーは対象国ではないが、変更可能であると米国大使館の広報担当者は示唆した。
「6月にGSPの見直しが行われ、米国はミャンマーにGSPを適用するか再検討している」と広報担当者は述べた。
「見直しでは、近年ミャンマー政府が取り組む、団結の自由などの労働者の権利に関する問題への対処など労働権の改革が検討される」。
労働権は四半世紀以上もの間GSPプログラムとミャンマーにとっての障害であった。
「ビルマのGSP適格は、労働権に関連するGSP基準を満たしていないとして1989年4月以来中断されている」と、国際貿易金融の専門家Vivian C Jones氏は2015年8月に米国議会調査局(超党派シンクタンク)への報告書に記している。
米国通商代表部(USTR)公式ブログの2013年6月の記事によると、GSPの小委員会はミャンマーに対する貿易支援に関する公聴会を開催した。
しかしその直後、GSPプログラムは失効したと同報告書に記されている。
2年後、バラク・オバマ大統領は2017年12月31日までGSPを有効とする「2015年特恵関税延長法」に署名した。また同法は「2013年7月31日までGSPの適用を遡り」、輸入業者に払い戻しが行われると、USTRのウェブサイトに記されている。
これは、ミャンマーの適用資格の問題が計画に戻ることを意味する。米国大使館の広報担当者によると、決定は最高レベルで行われる。
「GSP規定によると、大統領は、GSP適用国を指定する前に、国際水準での労働者の権利保護と知的財産権保護といった様々な条件を満たしているか評価しなければならない」と広報担当者はいう。「ミャンマーについても、現在これらが検討されている」。
これらはミャンマーが歴史的に苦労している問題でもある。ミャンマーは知的所有権の保護に関する枠組みが弱く、ヤンゴンに多数ある携帯ショップにみられる偽物のApple ロゴがよい例である。また、労働者保護への取り組みも弱い。
ミャンマーと米国間の貿易は依然として少ない。商業省によると、ミャンマーの2国間貿易における今年度利益は、11月までの合計で約171億米ドルである。その一方、今年10月締めのミャンマーと米国の相互間貿易額は、3億米ドル強である。
しかし業界関係者は、将来性の高い縫製業が対象とならなければ、特恵措置は両国の貿易関係の景気づけには不十分だと主張する。米国財務省による経済制裁の継続や流通コストといった多くの要因により、貿易量の伸び悩みは継続するとみられる。
米国大使館の広報担当者は、「GSPに限らず、構造的欠陥があるにしろ民主主義への大きな一歩となった先日の選挙を評価し、経済関係、通商関係を含め政策全ての見直しを行っている」と述べた。
「次期政府による大規模な改革の継続と成功はもちろん、政府が選挙結果を尊重し、平和的な政権移譲を行い、全ての宗教と少数民族の人権を保護し、ラカイン州の状況の改善を進めることにより、米国がミャンマーに対して行う支援のレベルやタイプが決定される」。
現在、ミャンマーの貿易特恵を受ける資格に関する議論が続けられており、
「見直しが終了したら、結果を発表する」と広報担当者は述べた。
(Myanmar Times 2015年 12月8日版 第8面より)