NLDにより旧ビジネスの夜が明ける

ミャンマーの大物実業家の多くは総選挙をうけ政権を離れることとなり、ビジネス界の変化が進んでいるように見えるが、専門家は、国民民主連盟(LND)は古くからの財閥による根深いビジネス体制の解体に苦労するだろうと警告している。
ここ数日は、再び議席を取ることを望む政界の大物たちが新人にとってかわられるという状況が続いている。
前政権下のビジネス界の大御所-Yuzana Companyの Htay Myint氏、Zaykabar の Khin Shwe氏、A1 Group of CompanyのYan Win氏、ACE ConstructionのTint Hsan氏-は、投票終了時に落選が判明した。
不動産、農業、採鉱業界などを牛耳る彼らは、軍とのコネによってトップに上り詰めた。その結果,ここ数年支持者の村人たちと対立し、支援を失ったとみられる。
しかし最近の後退にも関わらず、多くの実業家は自身の権力を諦めようとしないと、Global WitnessのMike Davis氏は述べた。
「議会から外されたことは、確実に大物実業家の威信に打撃となる。しかし彼らは特権や自身の領域の維持のために議席に依存することはなかった」と彼は述べた。
「現在彼らは新しい議員の機嫌を取ることに忙しく、状況が落ち着いたとき、彼らは確実に大きく打って出るだろう」。
その一方で、Tay Za氏やZaw Zaw氏のような有能な実業家は静かに賭けをしており、野党の人道的プログラムに多額の寄付を行っていると伝えられる。
NLD広報担当者Han Tha Myint氏は、名前を出さなかったが、政党が個人から献金を受けていることを公表した。
「私たちは今後寄贈者リストを公開する予定だが、現時点での氏名の公表はできない」と述べ、多額の寄贈者の多くは著名な実業家ではないと付け加えた。
政府から身を遠ざけていると語られるKanbawzaグループとアジア・ワールドグループの広報担当者は昨日、政治的中立を述べたが、奇妙な転落は、誰もが彼らが主張するように公平ではないということを示している。
今問題なのは、民主主義(あるいはそれに近いもの)がトップ企業に対する新しい規則を課すことになるかどうかである。Davis氏はそうなると信じている。
「氷河期に恐竜がいたように、新しい政治情勢が起きる可能性もあれば、完全に古くからのコネに基づく魅力的な契約を破棄することが出来ない可能性もある」と彼は述べた。
「しかし、洗練された公人を選出できれば成功しうる。だれが大統領になろうとも新政府は、経済界全体やうまく取り入った取り巻きを疎外するようなことはないだろう」。
ミャンマー商工会議所連盟(UMFCCI)の副会長Maung Maung Lay氏によると、国のトップ企業は選挙でNLDが勝利すると予測し、その場合に備えていた。「縁故資本主義から公正な競争が実現する世界へ、パラダイムの転換は必ず起きる」と彼は述べた。
しかし彼は、挑戦の自由を警告している。「NLDには高い期待が寄せられている。上手くいけば、彼らが乗った船は転落することはないだろう」。
NLDが選挙で完全勝利を収めたとすると、本当の試練はリーダーがいかに汚職や縁故主義に対処するかであると、ビルマキャンペーンUKのMark Farmaner氏は述べた。
「野党は、刑務所からの釈放と安全保障を求めNLD内部の秘密主義と民主化運動の習慣を十分に協議し進展させることが不可欠である」と彼は述べた。
「しかしその習慣を政府内で継続することは非常に危険であり、過去の不正行為を認めることになる」。
NLDはまだ、企業や天然資源の管理を規制するための具体的な政策を提唱していないと、彼は述べた。
選挙公約の中で党は、「汚職のない社会を確立するために必要となる効果的な措置」を取ることを約束している。
つまり、天然資源の独占的な管理や不公平な分配、利用の根絶の誓約である。選挙公約には「私たちは計画中の天然資源事業の透明性と事業の公表を確実に行う」
「また私たちは、このような事業の利益を国の長期的な発展に使用するための専用の基金を設立する」とされている。
新しい政府が本気で「独占的かつ利己的なビジネス環境」からの政治的・経済的転換を望んでいるのであれば、法律の本を手に取り全政治的意思を奮い立たせる必要があると、ミャンマーの資源政治学専門家であるKevin Woods氏(カルフォルニア大学バークレー校のPhD候補生)は述べた。
バランスを保つことは難しい。ミャンマー国民は今週、NLDの多議席獲得を祝っただけではないと彼はいう。祝いは人々が期待している変化の象徴である。
「1つは、利益を独占する人々を経済活動の外に追い出し、国と人々に利益を与える投資をもたらすことである」と彼は述べた。
Woods氏は、NLD主導の政治は十分に新旧の政経済界人をまとめることができると考える。克服しなければならない最も困難な障害は外国人投資家に頼らずクリーンな投資資本を見つけることであると、彼はいう。
「軍は機会を与えられた取り巻きのみが活動できるビジネス環境を作っており、現在、ここには国内の『クリーンな資本』源を選択する余地がほとんどない」。
「おそらくNLDは、この難しい問題に直面することになる:縁故資本を取るか、国内経済を飛躍させるための数少ない選択肢を取るか」。
外国人投資家は、依然として巨大な天然資源の発掘や安い労働力を求めていると彼は述べた。
「NLDは国の政治的変革の到来を告げるかもしれないが、世界各国の外国人投資家は、ミャンマーに進出するためのゴーサインに対し、多くの懸念を抱いている」と彼は述べた。
「それはまた違った結果をミャンマーにもたらすだろう」。
公約は、これを簡単に扱い「高い国際基準に沿った大規模な外国投資を推奨するために、私たちは両党にとって安定的な長期的利益をもたらす経済協力を歓迎する」としている。
Woods氏は、天然資源が主に依然としてミャンマー軍と対立している民族紛争地域にあることを懸念している。
「資源に関する利権はまず初めに武力紛争を引き起こす要素の1つとなることから、全国停戦合意の直後の急な資源採掘の再開は武力紛争の再開の引き金となりかねない」と彼は述べた。
「私たちは経済改革をいかに進めるべきか非常に慎重になってしまう多くの原因を抱えている」。
(Myanmar Times 2015年11月12日版 第12面より)