ミャンマーの新しい外貨規制、米ドル使用を禁止できず

2015年5月にミャンマー中央銀行(CBM)は、民間団体と政府機関はミャンマー内での取引に外貨を使用すべきでないことを示す通知書第904号を出した。
これを補足するように、先週CBMは通知書第10/365号を発表し、民間セクターの外貨保有(FEAH)ライセンスの取消しを強行した。
予想通りこの動きは混乱を引き起こした。一部の銀行は、航空会社や通信会社からの現金預金の受け取りを拒否し、一部の企業では、米ドル表記で作成された請求書の受け取りを拒否した。
FEAHライセンスは、外貨ライセンスの主要な3種類の内の1つであり、しかも、CBMが銀行や両替商ではない一般企業に発行している唯一のライセンスである。
この許可は1993年から与えられており、1,500以上の企業や組織が、旅行業、ホテル業、宝石事業、飲食店業、土産物店といった事業の一部として外貨を受け取っている。
FEAHライセンスは外貨を事実上の物理的現金である銀行手形で受け取るライセンスであるということを人々は見失っている。
FEAHライセンスは2012年前期のミャンマー外貨システムと連結している。その一方で、2012年、新しい外国為替管理法(FEMA)が施行され、外国銀行手形(現在は上限10,000米ドル)の保持と許可を持つ銀行で外貨口座を開設する権利をミャンマー住民に与えた。
2012年FEMAの施行以降、ほぼすべての外国企業と地元企業は、ライセンスを持つ銀行において外貨口座を持つことができる。
つまり、基本的に同じFEAHライセンスは2012年外貨システムとの多くの関連性を失った。
2012年FEMAによってすべての人が外貨口座を開設することができるようになり、FEAHライセンスの必要性は大きく減少したということではあるが、廃止されたわけではない。
FEAHライセンスによって、現金(実際には銀行手形)制限は高くなった(一般的な10,000米ドルに対し50,000米ドルまたはそれ以上)。そのため、現金で高額を所持する必要がある場合、多くの企業は依然としてFEAHライセンスを必要とする。
しかし、ほとんどの外国企業は、FEAHライセンスを持っていないか必要としていない。
2012年のFEMAによると、ミャンマーで外貨送金を合法的に受け取る誰もが外貨口座を使用することができる。
それ以上に、2012年の外国投資法と付随する規則によって、外国人投資家は様々な権利とミャンマー投資委員会の許可を受けるための特別な権利を有することとなった。
つまり、問題はFEAHライセンスが廃止されることではない。問題は、ミャンマー国内の企業が請求や支払いの授受を外貨で行うことが法的に認められているのか、それともチャットを使用しなければならないのか、不明確なことである。
核心となる質問に戻る。904通知書以来、CBMが国内取引での外貨の使用を望んでいないことは明白であり、10/365通知書もこれを念押ししている。
しかし904と10/365の通知のどちらも、具体的な方法を示していない。904通知書の主旨にも見られない。904通知書は、我々が行わなければならないことには一切言及せず、省庁に対し必要な措置を講じるよう要求している。
何であれこれらの措置は明らかに民間セクターが実施できるまでの時間的猶予を設けていない。時期が来るまでは、企業は国内での見積、契約、請求、支払いを外貨で行うことができると見ていた。
なぜ私たちは904通知書を適用し、今すぐにでもチャットの使用を始められないのか。第一に、904通知書は、実際、民間企業に対し法的義務を課すことができないからである。
通貨の変更とこれによる契約価格の変更は、契約当事者間に大きな議論の余地を生んだ。
勝者に敗者はつきもので、敗者は変化に抵抗する。それ故に、人々の行いを義務付けるには明確な法的根拠がなければならない。
904通知書にはこれらは見られない。10/365通知書もまたFEAHライセンスを取り消す力はない。あまりにも多くの疑問が未解決のままである。2つの章で成る通知書では国の金融政策の大幅な変更を実施することは出来ない。
どのように私たちはこれを解決すべきだろうか。ミャンマーにおける外貨規制の枠組みを明確にすることが大きく必要とされている。私たちは、関係者や銀行が従うべきビジネスにおける規則を明確に設置、提供する包括的かつ詳細な法規を求める。
先週、大きな驚きが広まったように、外国為替においては信頼できる情報の不足と多くの誤解がみられる。
他国のように、ミャンマー内で現地通貨のみ使用できるような時が来るだろう。その時が来たら不必要な混乱を避けるよう、私たちは、外貨に関する疑問が生じないだけの詳細な規定を持つ包括的かつ全てを網羅する明確な法規をもって行われることを提案する。
(Myanmar Times 2015年11月2日版 第11面より)