ミャンマー中央銀行はもはや過去を振り返らない

何千もの米ドル受領及び保持ライセンスを取り消す中央銀行の決定の影響で、不安が大きく広がる中、当局は古い方法に戻る予定はないと上級職員は約束した。
6つの民間銀行が両替所を開設した2011年までの長い間、ミャンマー市民が外貨を保持することは許されなかった。
国が開かれて以来、ライセンスは銀行と両替所だけでなくホテル、航空会社、スーパーマーケットを含めた多くの分野の企業に与えられている。
しかし、先週、これら多くのライセンスが突然無効にされた後、非銀行系の両替所は閉鎖を余儀なくされ、米ドル保持が発覚した人は起訴されるという噂がソーシャルメディアや現地新聞などで飛ぶように広がった。
中央銀行外国為替管理部の副統括部長であるU Win Thaw氏は、これらの噂の収拾に努めている。
中央銀行は、政府の古い政策に戻る予定はないとミャンマータイムズに話し、通知の目的はチャットの信頼性を高め国内経済における流通を拡大することであると付け加えた。
「私たちは後退する意図はない。国際的な慣行と自由化に向かって進もうとしている」と彼は述べた。
「政策は為替レートの下落を目的としていなかった。私たちはただ、チャットが国内経済で大きな役割を担うようにしたいのだ」と彼は述べ、この転換は間接的にチャットの強化に働くだろうと付け加えた。
中央銀行の為替レートによると、今年、米ドルに対し約25%弱体化した後、過去11日間で1287チャットから1281チャットと数カ月で初めてのチャット高を見せている。
非公式市場でもまた、1288チャットから1275チャットと米ドルに対して強くなった。
ほとんどの国は国内での現金取引において自国通貨の使用のみを認めていると、U Win Thaw氏はいう。
「例えば、タイでは現地取引ではバーツのみ使用できる。米ドルは海外で使用されるか銀行口座に入れるか、送金に使用されている」と続けた。
通知は小口決済にのみ関係し、個人での米ドル保持に関するものではないと彼はいう。
銀行や両替所以外の分野の企業は、2015年11月30日までにライセンスを中央銀行に返還しなければならない。
誰もが10,000米ドルまでの現金をライセンス無しで所持することができる既存の法律は変更しないと彼は述べ、これ以上の額の場合、銀行口座を所持する必要があると付け加えた。
更に彼がいうには、商取引における送金や契約での米ドルの送受金の規約に変更はない。
しかし、商取引における価格表示は米ドルからチャットに変更しなければならず、支払いもチャットのみを受け入れなければならない。
中央銀行は新しい規則が、ホテル、航空会社、宝石店、アートギャラリーなどの観光関連企業間で、POSカードシステムの使用が広がることを望んでいると、彼は付け加えた。
他の国のように、海外からの旅行者はカード払いの際に米ドルも含め通貨を選択することができるが、カードで支払う際、チャットを選ぶことは出来ず、海外の銀行もチャットによるオフショアを設定していない。
2015年10月16日にCBM(ミャンマー中央銀行)ウェブサイトで公開された10月13日付の通知によると、『ホテル、旅行会社、通信サービス、航空会社、病院、運送会社、免税店、メディア、Myanmar Economic Holdings 、飲料、農薬などの企業、土産物店、スーパーマーケット、ゴルフクラブなどの民間企業』が、ライセンスの返還を求められている。
通知では、承認された銀行と両替商の取引ライセンスの規約は変更しないとのことだった。
6月以来、中央銀行は省庁、管区、州政府機関、民間機関からドル化の影響に関して警告されている。
ヤンゴン外国為替市場開発委員会の会長U Mya Than氏 は、観光業も含め米ドルライセンスを持っていない産業に大きな影響を与えることはなく、この決定によってミャンマーは多くの国と同じ位置に立つことができると述べた。
しかし、委員会は、米ドルを受け入れることが根強い習慣になっているとして、中央銀行に対し企業に調整する機会を与えるべきだと提案した。
彼によると、2012年に中央銀行が管理変動為替レートを採択する以前は、公式レートが1米ドル6チャットであり、非公式レートはその200倍の1200チャットであり、その後、中央銀行は通貨規制の正常化の措置を講じた。
「必要性がないのであれは、米ドル買いだめの習慣は弱まるであろう」と彼は述べた。
ミャンマーで成長する観光産業はドル化にリンクしており、商業省のアドバイザーU Maung Aung氏はこの動きを歓迎し、「それは重要である-国は複数の通貨を使用すべきでない」と述べた。
しかし、オーストラリアのMacquarie大学の助教授でミャンマー経済の専門家であるSean Turnell氏は、ルールの即日施行の急な決定と通知は「説明がつかないほど逆効果である」と述べた。
フェイスブック上で彼は、「最も重要かつ興味深い点は、この決定過程とその公表、説明、履行のやり方である。専制的かつ突飛な、結果を全く考慮していないものに思われる。要するに、昔のミャンマーのやり方なのだ。」
「またはこれが現在のミャンマーなのか。実は、ミャンマーは全く変わっていない」と記している。
(Myanmar Times 2015年 10月21日版 第8面より)