中央銀行、支払いをチャットのみに制限する

ミャンマーの中央銀行は、地元経済におけるチャットの使用を強化するため、ホテル、レストラン、商店の価格表記を現地通貨のみにするよう、段階的に押し進めている。
政府省庁及びヤンゴン政府による指示で文書が出され、支払いだけでなく製品又はサービスの販売の際の見積もりも現地通貨のみとしなければならないと伝えた。また、これは多国籍の民間企業や政府機関の支局にも適用される、とミャンマー中央銀行の職員は述べた。
文書の内容は、外国からの購入よりも国内での支払いに向けられている。専門家は現地通貨のみでの取引を強制することはまだ無理な注文だと述べた。
中央銀行の役員は、ビジネスにおいては、依然として米ドルで国際取引を行うことができると述べた。
「どの会社でも、外国に輸出及び販売するとき、米ドル、または認められているあらゆる外資で請求し、見積もりを出すことができる」と彼は述べた。
「しかし、国内での販売においては、現地通貨のみを使用するよう推奨している」
まずは、航空券、自動車、お土産及びホテルの宿泊代といった国内の小売販売をチャットのみで行うことが考えられている。
「それは、シンガポールやタイでそれぞれの国の通貨のみで支払うこと同じである」と彼は述べた。
後に国内企業の卸売にも適用されるので、一度通貨の転送や交換が可能になれば、通貨危機を防ぐことができる。
通貨危機は通貨価値の変動から生じる。ミャンマーの会社が、輸入された原材料をドルで購入して商品を製造し、その後ドルで外国に売ると、製造過程でドル、チャット間の為替レートが転換し、利益を損なうリスクに直面することになる。
外国為替の囲い込みは、銀行のように、様々な異なる組織が、価格に対する収益におけるリスクをとることを意味している。
ミャンマー中央銀行の職員は「すべての国内販売、小売、卸売のどちらでも現地通貨を使うよう奨励しているが、初期段階での強制は難しいと理解している。従って、まずは国内の小売販売に従わせるよう、各省庁及び地方政府に勧奨している」と述べた。
ミャンマー中央銀行のウェブサイトに掲載された2015年5月28日付の文書で、大統領府は国内取引ではチャットのみ使用するという提案に合意したと述べた。長期的に見ればミャンマー当局による自国経済へのコントロールを弱めることになる外資の使用増加と、それによる現地通貨への影響に対して当局は懸念している。
「ドル化はミャンマーでさらに拡大しており、外資に対する要求が高まり、国内通貨の要求、使用、重要性が減少している」と文書で述べられている。
チャットは今年に入って急速に下落している。2015年6月9日の非公式の為替レートは1ドル1200チャット近くになり、年初めから17%価値が下落したことを示している。ミャンマー中央銀行の同日の公式為替レートは1105チャットで、それでも今年の初めから8%下落している。
米ドルは、この1年間を通して、世界中の通貨に対してある程度強くなっている。
専門家は、チャットの使用を強化するなどの、チャット強化への動きは、通貨問題が憶測であれば解決されるものの、チャットの下落が、現在の経済における構造的な弱さを表しているのであれば、より困難なことであろう、と述べている。
「チャットの下落が、根本的なことなのか、憶測なのかという問題は混乱している。中央銀行の介入が有効であるかどうかについて述べるには早すぎる」とアジアグリーン開発銀行の取締役代表U Soe Theinは述べた。
中央銀行は、即支払いの通貨としてチャットを使用させるより、米ドルを適切な量売ることにより状況をよくコントロールできたのではないかと彼は述べた。現在、ほとんどの米ドルは公式ルートを通すよりも闇市場から入手されている。
多くのホテル、ブランド衣料用品、宝石店のような民間企業は変わらず米ドルを使用し、ルールに注意しているが、初期段階で、この政策が最も影響を与えたのは政府機関の支局であった。
サービスアパートメントのビジネスパーソンは、長期滞在する顧客にとって、多くのチャット紙幣を運ぶよりもはるかに便利だということから、主に米ドルでのビジネスをしていると言った。
「カードでの支払いの慣習が急成長しない限り、最も有効な取引方法は米ドルによるものである。この方法は私たちの顧客にふさわしい」と彼女は述べた。
法律事務所のVDB Loiによる顧客説明によると、中央銀行の目的は、国内の外資に対する人工的に創り上げられた要求を低減させることである。例えば、高まっている米ドルに対するニーズは、中央銀行の見方によると、通貨の不安定化の機会を増やすことになる。
文書は政府機関と民間企業への通知となっている。
「これはまだ強制力のある指令ではない」と顧客説明で述べられている。文章は一般的なものであり、法的拘束力のある文言で書かれていない。実際には、中央銀行は現在、拘束力のある細則の制定準備をしている。
「従って、この時点で企業が米ドルでの支払いを拒否するには早すぎる、というのが我々の見方だ」
VDB Loiの説明では、特定の取引は例外として切り離して考えられるだろうと述べられている。外国駐在員の給料については文書では言及されていないが、合弁企業のような大規模な取引と資産については、今度の規制からは除外される。
「ミャンマーが新しい外国為替の文脈に移行していくうえで、最も重要な実用上の問題のひとつは、使用しなければならないミャンマーチャットの実際の程度(量)である」と述べている。
説明報告では、外国紙幣を国内で使うことを禁止している国もあるが、米ドルでの価値での契約を認めている。また中央銀行は、請求及び支払いだけではなく、契約でもチャットの使用を課す可能性がある、と述べられている。「現在まで、ミャンマーで企業が外貨で請求することに対する一般的な制約はない」と述べた。
外国投資家にとってのリスクとして、外国投資法ではミャンマーでの外貨での事業が保証されていないが、投資した資本と利益を外貨で引き出すことは保証されている。
さらに、外国企業はミャンマーで米ドルを獲得するための選択肢が縮小されており、いくつかの段階で、チャットでの利益をドルに換算させる必要がある。
VDB Loiの説明報告書によると、もうひとつの疑問は既存の契約は現行の取り扱いが認められるのかどうかである。
(Myanmar Times 2015年6月10日版 第8面より)