10,000チャット紙幣の新しいバージョンが公開されるという国家発表は、特に政府は流通させる紙幣の数を述べていないこともあり、インフレの懸念を引き起こしている。
ミャンマー中央銀行の2015年5月29日の通知によれば、新しいタイプの輝くエメラルドの番号、白い蓮の花をイメージした新しい透かし模様、紙幣の両面にニスを塗り保護した10,000チャット紙幣を発行する。
発表によれば、新しい紙幣は耐久力があり、また偽造することが難しくなっていること、新しい紙幣の導入は、法定貨幣としての古い紙幣に影響しないと述べた。情報省によると、2015年7月1日に流通する。
中央銀行は2009年に5,000チャット紙幣を発行し、2012年に10,000チャット紙幣を、5,000チャットの新バージョンを2014年に発行した。
銀行員によると、最も多く偽造される紙幣は5,000チャットとのことである。資本の流入は、その大部分を現金に依存していることから、(使い古されて)状態が悪い紙幣と偽造紙幣は問題を引き起こすと述べている。
毎年、より高額で、より多くの紙幣が偽造されているニュースがあると経済学者のラ・マウン氏は述べた。そのために、政府は、安定のために新しい紙幣を発行するのだということである。
「人々は、このニュースは政府による捏造ではないかと疑っている。人々は実状を知らないため、インフレを引き起こさないということを明確に示すために、政府は正確な発行予定数を公表すべきだ」と彼は述べた。
政府が、現在の流通へ導入する規模、国のGDPとどのように比較されるかについて、確約していないので、疑義が高まっている。新しい紙幣発行のタイミングは財政赤字の増加と一致している。国家発表によると、ミャンマーの財政赤字は2016年度の国内総生産(GDP)の5.22%にまで増えている。
今年早期に国際通貨基金(IMF)に勧告された目標は5%を超えると予測されている。
経済アドバイザーのゾー・ウィン・ぺ氏によると、政府が貨幣を増刷しすぎれば、国民、特に中低所得層の人々を苦しめることになるだろう。
「もし政府がお金の増刷を選択したら、財政赤字は悪化するだろう」と彼は述べた。
ミャンマーは、プロジェクトや赤字への対処に資金を費やすために貨幣を増刷する傾向にあったことで、長期間に亘ってハイパーインフレーションが起きていた。IMFの統計によると、2001年から2010年の間の平均インフレ率は23%である。
商業省のアドバイザー、マウン・アウン氏は、国民が既存の10,000チャット紙幣を使用することができる一方で、政府及び銀行は古い紙幣を処分するだろうと述べた。
インフレ率は、2016年度は約8.5%と予測され、商業銀行による金利は8.25%、国営銀行は8%である。
新しい紙幣の印刷に関する管轄は、当局が2013年に独立したときからミャンマーの中央銀行の元にある。しかし、手続きは依然として不透明なままで、中央銀行はどの程度貨幣を増刷するかを発表していない。
(Myanmar Times 2015年6月1日版 第8面より)