ミャンマーを去る2つ目の法律事務所、会社法の遅れは間違いだと言う

政府は何かしなければならないことがある場合、「新たな法律を可決すれば、問題は解決する」という考え方がある。民間セクターとのコミュニケーション及び実際の実施に焦点を当てる時期である。
ニューヨークに拠点を置くHerzfeld & Rubin PC (H&R)に続き、新投資法及び同施行規則並びに会社法の草案に関し現政府に助言を行ったもう1つの大手法律事務所が匙を投げた。同パートナーは市場に関し「慎重且つ楽観的」であるが、遅れを間違だと批判し、政府に新たな法律を可決することが必ずしも解決となるわけではないことを認識するよう促した。代わりに、ネピドーは実施及びコミュニケーションに焦点を当てるべきである。
ロンドンに本社を置くBerwin Leighton Paisner(BLP)は、現地業務の低いフローが負担となっているとしてヤンゴンオフィスの閉鎖を決定した。オフィスの管理パートナーChris Hughes氏及び彼のチームの4人のミャンマー人弁護士は、オフィスを離れるがヤンゴンには留まる予定である。
これは先月のH&Rのミャンマー支店の閉鎖に続き、今年閉鎖した2番目の法律事務所である。HRMRのリードダイレクターEric Rose氏は、ミャンマーの経済改革は、政府の不活動、ラカイン危機、アメリカの金融制裁の組み合わせが原因で、国民民主連盟率いる政権下の約2年の停滞の後に失われた地盤が回復する自信はないと論じる。
ミャンマータイムズはBLPのマネージングパートナーであるChris Hughes氏と、事務所の撤退及び経済の展望について話した。
Hughes氏はこの撤退を「オフィスのグローバルレベルでの戦略的思考の変化」に起因すると話す。同変化の一部は米国法律事務所Bryan Cave LLPとの差し迫った合併も原因であり、成熟した市場に焦点を当るよう同社を促す。2月26日、Bryan Cave LLPとBLPは合併し4月1日からBryan Cave Leighton Paisnerとして開始すると発表し、合わせて9億米ドル以上の収益を得ると発表した。
ミャンマーはBLPにとって実験的であり、短い実験期間内での高い投資レベルを期待していた。
「西洋諸国の投資家の多くは特に2012年~14年にミャンマーを検討し始めたが、日和見主義であった。それはフロンティア市場だった。法律サービス業界という新興市場にとって、ミャンマーは彼らに自社ブランドを確立する機会を提供した」と彼は説明した。
お試し期間後、法律事務所はこのフロンティア市場から抜け出し、今後数年で既に事業規模を拡大している市場に集中するための「戦略的決定」を行った。
しかしHughes氏と彼のチームはミャンマーに残り、「慎重且つ楽観的」と感じる市場でBLPと密接に協力する予定である。
「私たちは残る決断をした。私たちはミャンマーの進む方向について慎重且つ楽観的である。私たちにとって即時の財政リターンだけでなく、ミャンマーは働くには非常に有益な場所である」とHughes氏は話す。
「BLP自体はまだ市場に存在するだろう。短期間では、BLPは他の場所でより高いリターンを得ると感じている」。
「私たちは既にミャンマーにいて、良好な顧客基盤を持ちミャンマーにも大きく貢献している」と彼は述べ、全顧客のため通常通り業務を行い、BLPはシンガポール及び香港オフィスからのミャンマー取引についても引き続き行う」と付け加えた。
BLPは2015年11月にヤンゴンオフィスを開設し、2012年からミャンマーで業務を行ってきた。ヤンゴンオフィスは、12か国目、14か所目のオフィスであった。BLPに入社する前、Hughes氏はヤンゴンのBaker&Mckenzieオフィスのマネージングパートナーであった。

事業活動の欠如
イギリスの法律事務所は、ミャンマーでの事業の閉鎖の理由について、現地業務の適切な流れの欠如に言及した。
「ミャンマー関連業務の大部分は現在BLPシンガポールオフィスから行われており、現地で生成された業務フローは、現時点では地上に物理的な存在を維持していることを正当化するものではない」と先月公開された声明で述べた。
弁護士は、期待とのギャップがあり、資本源が期待と異なることが判明したためと説明した。ミャンマーは消費財を除き、西アジア及び東南アジア、北アジアの投資が減少している。
「誰もが2012-15年に見られる活動レベルが選挙後も同様の方法で継続または増加することを期待していた。だがそれは起きなかった」。
「西欧諸国からの投資の割合が増えることを人々は期待していたが、それは起こらなかった。なぜなら投資にはまだ困難で不慣れな市場のためである。西欧諸国からの投資の大半は、ここで投資するための長期的な視野を持っていない」と彼は述べ、長期的投資の視野がミャンマーにとって必要であり、現地環境を理解するには数年かかるという事実を強調し続けた。
弁護士はまた、BLPは外国投資を目的としているため、活動レベルは分野ごとに異なるという。例えば、インフラ及びエネルギー分野は期待に応えていないが、依然としていくつかの活動が行われている。サービスやインフラサービスといった他の分野は投資が進行中だが、「人々が期待する大規模インフラ事業には成熟していない」という。
政府は現在経済にさらなる注意を向け、ビジネス環境を改善することを望んでいる。投資家は依然として、広い経済方向がどのような形をとるのかを静観している。

会社法の間違えのため遅れる
BLPは長年に渡る協議の後議会に提出された新会社法の草案に関し政府に助言し、Hughes氏はこれが実施された際、さらなる経済成長のための条件が設定されると信じていた。主要法律は多くのセクターを自由化し、国内企業が合弁事業を通し外国資本及び専門知識を求めることにより会社を成長させることを可能にする。
しかし法の実施を遅らせるという政府の予期しない決定は、民間セクターを失望させた。
DFDLパートナーでありアメリカ商工会議所法律団体の会長のWilliam Greenlee氏は、この遅れが「潜在的な外国投資の熱意を失わせる」結果となると批判した。新年の間、ミャンマー日本商工会議所の会長ナカガワカツジ氏もまた、新会社法の適切且つ迅速な実施が政府にとって最も重要な任務であると述べた。
Hughes氏は彼らの意見をそのまま繰り返した。
「政府は実施を遅らせるという間違えを犯した。そうした実際の理由はない。ビジネスの信頼感の観点から、それは彼らが失った機会である」と彼はいう。
「政府は経済的優先事項を説明するため、ビジネス界とさらに関わる必要がある」と彼はいう。
ネピドーは、問題がある場合や何かしなければならないことがある場合、新しい法律を可決すれば問題は解決するという考え方を持っている。一部の地域は、新しい法律は必要ない。彼らはより良い運用、良い法律の施行、より良いコミュニケーションを必要としている。政府行政及び事業の実施に関する企業との協力にもっと注意を払う必要がある。政府は発展のパートナーとして企業を見るべきで、私たちは同じ言語を話すことを学ぶ必要がある」と弁護士は主張する。
ネピドーは、いくつかの課題は対処する管理能力を超えていることを認識しなければならない。
「エネルギーの課題は、例えば、政府が必ずしも共同投資家または合弁パートナーである必要はない」とHughes氏はコメントする。彼らが代わりにすべきことは、生成された電力のため透明性を持った規制の管理体制、価格の管理体制及び安全を提供し、民間セクターが参入し同問題を解決することを認めることである。
(Myanmar Times 2018年3月22日版 第6面より)