TrueMoney社、ミャンマーのモバイルフィンテック市場に狙い撃ち

TrueMoneyはミャンマーのモバイルマネー市場を争うフィンテック企業の新顔の一つだが、競争の激化に直面している。その戦略はミャンマー在住者の携帯端末での国際的な現金送金促進のサービス需要を満たすことだ。TrueMoney Myanmar CoのSiriporn Nimtiparat代表は「我々には地域同士のモバイルマネーマーケットを繋ぐチャネルがある」と本紙に語った。タイの会社であるTrueMoneyは、モバイル金融サービスを提供し、オンラインまたはPOS導入の実店舗でモバイルアカウントに現金を入金後、国内外の代理店ネットワークに現金同等物を転送できる。ASEANでは、TrueMoneyはタイ、カンボジア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシアにモバイルマネーネットワークを構築した唯一のフィンテック企業で、ユーザーはこの国の間での送金が可能だ。「ミャンマーはASEANで最も新しい市場だ」とSiriporn氏は言った。TrueMoneyはタイ国内のミャンマーの労働者にとって1時間以内の自宅への送金を可能にする唯一のモバイル決済会社でもあり、人々がタイ国内のコンビニエンスストアのセブンイレブン、並びにTrue Coffee実店舗において、POS機能を通じて自宅に送金できるパートナーシップを確立した。タイとミャンマーの間では現在、一日に約2百万USドルを取扱中だ。

激化する競争
TrueMoneyはミャンマーにおいて、銀行口座を持たない層に対する競争の激化の時期に拡大中だ。人口の約80%はミャンマーに銀行口座を持たずに現金の束を持ち歩くことを好む層だが、モバイルマネーテクノロジーによりミャンマーの銀行口座数は全面的に飛躍すると多くの通信事業者が見ている。「モバイルマネーサービスは、銀行口座の開設の必要性がなく、生活の質を向上させたい銀行口座を持たない方々向けのものだ」とSiriporn氏は言う。
昨年10月、国内通信端末事業者3社のうちの1社のノルウェーのTelenor Groupは、First Myanmar InvestmentとYoma BankとのJVによる携帯端末決済サービス「Wave Money」を開始した。 同社によれば約25万人が当該サービスを利用しているといい、現在は小売店で年末までに販売する予定である。
国内発のモバイル金融サービスのスタートアップのOK Dollarも昨年、サービスを開始した。OK Dollarはミャンマーの流通会社とホテルグループのSuper Groupが運営し、年初に10万人超のユーザーを獲得したと主張した。カタールのOoredoo社は今年、ミャンマーのCo-operative Bankと提携してM-Pitesanの名で同様のfintechサービスを開始した。

異なるライセンス
特筆すべきことに、顧客保護のために2016年3月30日に公布された規制に基づき3つの通信事業者全てがミャンマー中央銀行(CBM)からモバイル金融サービスのライセンスを受けたが、対照的にTrueMoneyはAGD Bankの「モバイルバンキング」ライセンスのもとに運営を行う。CBMがミャンマーで発行のモバイル・フィンテック・サービスのライセンスは2つあり、「モバイルバンキング」はフィンテック企業が国内の銀行からのライセンスを受けての運営で、「モバイルファイナンシャルサービス」は事業者自身の運営だ。銀行との提携には取引の制限が緩やかという主な利便が存在する。「我々は1日1回当たり100万チャットの取引送金をユーザーに許可しているが、他のライセンスでは1回当たり僅か20万チャットに制限されている」とSiriporn氏は述べた。TrueMoneyの他、カナダ銀行に株式の22%を今年売却したミャンマーのモバイルマネーのmyKyat and Ongo Mobile Moneyも「モバイルバンキング」ライセンスのもとで運営されている。TrueMoneyは手頃な手数料やサービスの信頼性といった他の利便性を主張する。「我々は合理的な料金で1時間以内に家に着金するというユーザー間の信頼関係を構築してきており、これは我々のネットワークを強化し口座を持たない顧客の金融リテラシーを高める基盤だ」とSiriporn氏は述べた。

強力な屋台骨
競合他社に対するTrueMoneyの最大の切り札はタイの株主からの強力な財政支援だ。同社はタイ通信企業の巨艦に挙がるTrue Corporationの一員として2003年に設立され、タイの複合企業のCP Groupで50%超、China Mobileで18%の所有から成る。True Corporationは非上場子会社Ascend GroupのもとTrueMoneyを含む全てのオンラインビジネスを2014年に分割し、TrueMoneyも同年にミャンマー入りした。
十分な資金と既存の地盤の存在の支援を受けてTrueMoneyは現在、タイの労働者を超えてミャンマーの顧客基盤を拡大し、他の地域で勉学に励む子供達宛の送金を望む両親に拡大の予定で、かつ、ミャンマーとその調達先、子会社、またはASEANの持株会社内、の企業向けサービスの提供機会も伺う。「我々は多くの運転資金とキャッシュフローが必要な企業の即時払いと成長の助けとなれる」とSiriporn氏は述べた。TrueMoneyはまた、人々の水道光熱費や公共料金の支払のためのプラットフォーム提供を通じて政府を支援したいと考える。「これらの開発の多くが年末までに形となって現れるのを見ていく」と彼女は言った。
中長期の視点ではTrueMoneyはミャンマー市場向けにカスタマイズされたアプリを開発し、顧客が携帯電話から、ローンの返済と申請を含む全ての決済処理を行えるようにする」とSiriporn氏は述べた。「当社の戦略は市場の特定のセグメントへの照準と我々のネットワークの活用だ。長期的には地域全体をカバーするモバイルアプリにも移行するが、これが競合他社との違いだ」と同氏は付け加えた。
(Myanmar Times 2017年10月3日版 第7面より)