味の素代表取締役社長兼CEOの西井孝明氏によると、同社のブランドイメージを損なう恐れのある偽造食品が国内市場に多く存在することから、ミャンマーへの同社の展開は危険であるとのことだ。
東京都渋谷区に本社を置く味の素グループは、調味料、食用油、テレビディナー、甘味料、アミノ酸、医薬品などを製造する日本の食品化学会社だ。味の素、とは同社オリジナルのグルタミン酸ナトリウム(MSG)製品の商品名である。2016年2月に同社は調味料の梱包・分配工場をティラワ特別経済地区(SEZ)に建設し昨年9月19日には工場の開会式を行った。
「ミャンマーの市場には『味の素』ブランドを使用し広く流通する模倣粉末がある。これらの偽の製品は汚染された低品質の成分を利用しており、市場内のその存在は弊社のイメージを大きく損なう。この問題は弊社だけで取り扱うことはできず、従ってミャンマー政府からのご支援を賜り皆で解決を図りたい」と西井氏は述べた。
これまで同社はティラワSEZの工場建設にUS 4,500万ドルを投資し、調味料を包装・販売中だ。工場ではタイから原材料を輸入しミャンマーで包装を行う。味の素は1930年に日本からの直輸入でミャンマーの市場に入り、その後直輸入が中止され、2017年に直接投資の形で再進出した。同工場の小川智代表はミャンマー市場への再進出にあたり市場調査を実施したと説明し、本調査では同社製品の不正なラベルのもとで偽の調味料や不純物が市場で販売されていると結論づけた。「市場では低品質の調味料や『味の素』の商標付きの製品を含む多くの製品を確認している。追加調査後によりこの偽の調味料の大元は中国発のラベルなしの大きい包装物と判明した。偽の調味粉末は『味の素』のラベルを貼った袋に詰め込まれて市場に再販される。だから我々は、マーケティング部門のスタッフを店に直接出向かせて店主に偽物と本物の識別方法を示させている」と小川氏は述べた。ミャンマーで生産の味の素製品には、商標、品質および原料がパッケージに日本語表記されている。後者からは世界の味の素の工場番号とその所在地も分かると同氏は述べ、「表記が中国語の場合は模造品だ。この方法で製品が本物か否かが明らかになる」と説明した。
不正な調味粉末は別として、他の模造製品や商品はミャンマーに輸入されている。標準的な制限について無表示の商品も市場に見受けられる。ミャンマーには品質の基準を規制する適切な知的財産に関する法律や組織がまだない。結果として多くの製造元会社が重大な損害を受けている。
ティラワSEZの味の素工場はMSGを製造するのみだが、「RosDee」のブランド名でチキン風味粉末を製造の予定であり、SEZに所在する子会社もまたインスタントコーヒー粉末を製造の予定との西井氏の談だ。
(Myanmar Times 2017年10月2日版 第7面より)