アジア財団の援助のもと、英国・オーストラリア・スイスの出資の、ヤンゴンを拠点とするルネサンスインスティテュートが8月に行った調査によれば、ミャンマーの多くの都市住民が支払う半年毎の財産税の価格は、お茶2杯分に過ぎなかった。
ヤンゴンでの同期間における徴収金額は、茶一杯相当の350チャット、ないしは26 USセントにも満たない。当調査は、既存の財産税制度を吟味し、改革を要する分野を議論し、ミャンマーの都市化プロセスに関する幅広い課税の問題を投げかける。
特に、急速な都市化の社会的、経済的利益を捉える際には、効果的なガバナンスを背景とした、強力な徴税システムである財産税制度が必要である。財産税は、他の税金、すなわち、印紙やキャピタルゲインに対する課税のような、財産に課し、物件の売却や移転によってのみ発生し、国政府に支払われる税金、とは異なり、商品やサービスの使用にかかる利用者側の手数料、とも異なる。調査の著者のひとり、Lachlan McDonald氏は、「当財産税は、課税標準の見積に『年間賃貸価値』アプローチを用いており、この財産評定制度は、シンガポール、マレーシア、パキスタン、インドの一部など、アジア諸国における旧英領植民地に共通のものだ」と述べた。
税の不均衡
現行制度ではミャンマーの財産税額収入が最も低くなっている(図表有り)。ルネサンスインスティテュートによれば、殆どの場合、半年毎に徴収の財産税は、ほんの紅茶数杯、またはそれ以下の価格相当でしかない。
財産税は、バゴー、パアン、タウンジー、パテイン、ヤンゴンを含む調査対象の全ての都市で、2%から6%の地方自治体収入の僅かな割合しか占めていない。パアンのケースで示されるように、地方自治体の資金の大半は、ビジネスライセンス、特に独占ライセンスのオークションから得られる。
こうした独占は、川上から川下への投資を削減し、結果、農村部から都市部への富を不均等に再分配することで、経済活動を歪めている。更に、ライセンス収入の殆どが都市部のサービスに費やされているにも関わらず、農村部の住民はより高い価格での支払いを強いられている。
この分析では、現行制度に関する問題も幾つか明らかになる。
例えばヤンゴンでは、観光産業と製造業は不均衡な財産税の重荷を背負わされているが、一方で大多数の都市住民は税金を支払っていない。
制度改善のために
ルネサンスインスティテュートは、財政の地方分権化、つまりは地方自治体の財政的地位の強化、及び地域社会の需要に的確に対応するための予算の決定対応を高める機会の提供を通じ、財産税制度の強化が可能であると主張した。さらに重要なことに、「財産税には、制度改善のための憲法上の変更は要らないことが法律上の重要な枠組みとして存在している。大きなプラスの影響を与える可能性のある行政上の変更の多くは、難しい変更ではあるが、地方自治体の管理下にあり、技術的には実現可能だ」とMcDonald氏は語った。
実際、そうした試みは既に幾つかの都市で実施されており、従って全国の都市に貴重な教訓を提供する場となろう。方針の幅広い変更も可能だが、時間はかかる。
しかし長期的には、都市化が進むにつれ、財産税収入の増加は、国内の地方自治体によるニーズと経費の十分な調達機会の提供につながる。
「財産税制度が強化されればライセンスへの依存も少なくなるだろう。当該制度の強化は、都市をより生き生きとさせ、成長のエンジンとしての役割を担う、持続可能な開発改革の議題の一部となりうる」と本調査は結論付けた。
(Myanmar Times 2017年9月12日版 第8面より)