発議された宝石用原石に関する立法は、欠陥のあるシステムをそのまま残す危険性がある。

天然資源ガバナンス研究所(NRGI)によると、現在、議会(Amyotha Hluttaw)において議論されている、発議された宝石用原石法は、1995年、前軍事政権によって制定された枠組みにおける多くの欠陥の大部分をそのまま残すことになる。
2016年7月新しい民主連盟政権は、翡翠、宝石用原石に関するライセンスの発行に関連する法律が見直され、翡翠採掘地域における環境管理計画が実行されるまで、一時停止すると決定した。非営利組織の一員であるPaul Shortell氏は、ミャンマータイムズに対し、再度議会を通すことで、行政は、枠組みを市民にとってより恩恵あるものにし、制度的能力を高め、違法な活動や取引に取り組み、この分野におけるいくつかの問題を対処できる可能性を持つと述べている。
しかし、発議された法律は、多くの重要な問題が抜け落ちており、前軍事体制の下で制定された欠陥のあるシステムの多くの部分をそのまま残している。
報道文書において、NRGIは発議されたものによって解決されていない、鍵となる4つの問題として、複数の利益対立、不透明な許可手続き、多すぎるライセンス、高い税率だが低い徴収率、透明性の欠如を挙げた。
大多数の国営宝石用原石企業と異なり、ミャンマー宝石企業(MEG)の商業的責任は明確化されていない。
「ミャンマー宝石機関(MGJEA)、ミャンマー産業連合は、宝石用原石の価値を決定し、規制に関し省へ助言する中央宝石用原石監督委員会への参加や、翡翠や宝石の大商人からの利益の管理を通し、異常なほどの影響力を行使する。」と文書において述べられている。
非営利組織もまた、ライセンス交付禁止にまで至る、異常な数の採掘許可の認可は、採掘事業への州の監督を損なっていると強調している。2016年初めまでに、2万以上のライセンスが許可された。
不透明なライセンス交付手続きや現在のライセンス条件は、企業が、安全な採掘、環境保護、地域発展のために必要な投資とともに、高い水準で運営することを促進していない。
昨年の7月、政府は、新しい宝石法の付則が通過するまで、ライセンスが失効した場合の、翡翠、宝石の採掘許可の更新を禁止する命令を出した。
弱い制度やライセンスの他にも、ミャンマーの宝石セクターにおける税金は、他国に比べ、とても高い率である。
この高い税率が、密輸や報告されないものを促進し、宝石彫刻、研磨、小売り等の下流部門における活動の成長を制限しているという証拠がある。
採掘企業が負う税金を、彼らの生産に基づいて決定する国の評価プロセスは、顧客主義に対し、脆弱であると組織は述べる。ミャンマー政府は他国に対し、一般の人々が利用可能な法的枠組みのカギとなる要素をつくるという点で後れを取っている。
さらに、独立した採掘事業への監視に対する既存の規制、支払い、ライセンスの条件、受益所有権の公開が十分になされておらず、説明責任能力も限定されている。
Shortell氏によると、翡翠、宝石用原石部門における政府の改革努力において根底にある問題は、彼らのアプローチにおける一貫性の不足である。この分野の国家戦略策定は、法的改革と関連、協調されていない。
「天然自然環境保全省は、最近、政府、企業、市民社会の代表者を含む支援委員会を、翡翠、宝石用原石部門に対する彼らの新たなアプローチを知らせるために招集した。この機関による命令はまだ終結していないものの、理想としては、この機関が、国家の翡翠、宝石用原石に関する政策の策定を導くことである。」
「ほとんどの国において、国家戦略の進展は、関連する法律の改正に先立つ。国会における宝石用原石法の議論は、省の支援委員会の仕事や、現在進行形の国家調停のプロセスと全く協調されてるように見えない。」
時期尚早の法的枠組みの改正は、宝石用原石部門の将来の行く末や、民族的地域における天然資源の管理に関する交渉に関連する、多くの利害関係者との対話を損なうと彼は、ミャンマータイムズに対して述べる。
彼はまた、NLDの宝石のライセンス交付に関する臨時覚書は、翡翠、宝石用原石部門におけるどのような発展が地域や国家により利益をもたらすのか再検討する道を開くと述べる。
「弱い政策は、十分な監督なしに翡翠、宝石用原石を採掘させ、政府や市民がミャンマーの豊富な資源から得る利益を享受することを妨げる。」と彼は述べる。
この部門の再構築におけるNLDの努力における、もう一つの問題点は、国が翡翠や宝石用原石に関する法律や規制、契約を、他の鉱物と分けられていることである。
「国は通常、法律的曖昧性を減らし、政府機関の間における、効率性、協調を高め、更なる規則の制定を支援するため、一つの鉱物法のもと、宝石用原石を他の鉱物とともに扱うことを選ぶ。」
「前軍事体制による、1995年のミャンマー宝石用原石法(1994年のミャンマー採掘法とは別)の通過から今日に至るまで、宝石企業や関連する政府機関は、他の鉱物に関わる企業等に比べ低い基準を有している。」
「この宝石用原石部門の、広義の鉱業部門からの法的、制度的孤立は、政治的、ビジネスエリートに先20年以上、宝石採掘の利益を占有させることとなる」とNTGIの構成員は述べる。
報道発表において、組織は、ミャンマーの宝石取引は巨大な利益を生み出しているものの、人々はその恩恵を受けていないと説明している。
「20年にわたり、その利益はエリートに吸い上げられており、市民は、この豊富な資源による利益のごくわずかしか、政府の収入、地元の雇用、国内価値の付加という面において、実感していない。」と報道発表にて述べられている。
(Myanmar Times 2017年5月30日版 第7面より)