EUミャンマー間における投資保護合意(IPA)交渉は第五ラウンドに進むか。

CT-Allianceにより、「The Pending EU-Myanmar Investment Protection Agreement: Risk &Opportunities」EUミャンマー間における投資保護合意がもたらしうるリスクと機会に関するレポートが発表された。レポートによると、ミャンマーの広範囲にわたる土地紛争、土地の権利をめぐる人権、政策余地の必要性及び、制度の影響範囲が制限されていることが、この合意をめぐる主な障害として挙げられた。
ミャンマー側に関し、レポートは、完全な透明性、政治に関する組織化された協議、法律や投資企業管理局による二次的規制、また、国会の審査における各国主導のプロセスを認めることなどを勧める。
このレポートは、DanChurchAid, ICCO Corporation ACT alliance EU ,ミャンマーにおける ACTフォーラムに委任され作られた。
そもそも、2014年、ミャンマーにて、このEUとミャンマー間における二国間協定に関する交渉が始まった。
EU委員会によると、この合意は、両国に対し、安心安全な投資環境の整備、差別に対する保護、投資に関する公平性の確保をもたらすと期待されている。
4月26,27日、昨年の12月に行われた第4ラウンド交渉に以来となる、両国の交渉担当者における会談がヤンゴンにて行われ、投資紛争解決を中心に議論された。
以前、EU大使であるRoland Kobiaがミャンマータイムズに対し述べたことには、このEUミャンマー間の合意はEUの投資家が、ミャンマーと安心できる関係構築を可能にし、すでにミャンマーとIPAを結んでいる他国と同じ状況にて投資することができるとしている。ミャンマー側に対しても、FDIを呼び込み、国のさらなる発展を期待できるとしている。
しかし、調査によると、この合意による、さらなる投資はミャンマーの人々の人権や生計に悪影響を及ぼすおそれがあるとされる。特に、土地権利、食物の権利や公平な配分、十分な住居、自己決定権への影響が懸念される。
また、このIPAは、ミャンマー政府が投資を通し、国内の改革、持続可能な平和という国全体の目標を達成することを妨げる可能性がある。
「広範囲における土地紛争と差し迫った土地管理改革そして、それに関連するより大きな目標である、現在進行形の平和構築プロセスこそが、この合意に対する主な反対意見とされる。」と研究は示す。
「土地権利はまだ十分に発達しておらず、大規模な投資事業によって、その土地で働いていたり、住でいたりしている人々が、立ち退きや生計手段の喪失、相談機会や保証の不十分さに対して反対している。」
「土地管理改革は、規模や影響は未知数とされるものの、平和構築のプロセスにおけるより政治改革のひとつとして期待され、求められている。」
影響が制限されていることも、別の大きな問題点である。それにより、ミャンマーが効果的なIPA措置を行使することができない可能性もある。
また、国家間における情報共有や調整が制限されていることから国にかなりの訴訟リスクをもたらす可能性もある。
さらに、調査は、さらなる透明性、投資企業管理局の協議をはじめとした、重要な助言をもたらしている。
透明性や政治的協議の欠如は、ミャンマー市民社会や国際的な論評家が、この合意を反映し、改善策を助言することをほとんど不可能にする。
EU側は閉鎖されたプロセスを希望しているものの、ミャンマー側はより開かれたオープンな交渉プロセスを要求している。
レポートは、ミャンマーに対し、全ての人が意見を言える、透明性のある、組織化された政治的協議や、法律、二次的規制を始めるべきだと述べている。
また、この合意に関し国会で議論の場を設けるべきだとも助言している。
CSO代表は、「現在IPOは投資企業管理局のトップレベル、大統領事務所、国の顧問であるアウンサンスーチーと言った一部の人間しかプロセスや結果に関与していない。国会はもっと積極的、法定における議論の要求などに関与すべき。」と主張している。
レポートは、投資企業管理局に対する管理の減速、署名前に含意を完全にレビューすることへのロビー活動も同様に推進している。特に、合意へのプロセスの減速、そして、この合意がもたらしうるビジネスや人権に関するさらなる調査を行うことに重点を置くべきであるとしている。
実際のところミャンマー政府は多くが完全に理解していないにもかかわらず、合意を急いでいる。
また、労働法の改正、部門間における更なる協力体制、政府内におけるプロセスのスピードアップ、より一貫した法律、決定プロセス、コミュニケーション、透明性の改善などと言ったIPA外において、投資を活発化させる重要事項に取り組むこと等も改善点として挙げている。
(Myanmar Times 2017年5月12日版 第9面より)