ミャンマーの専門家及び外国人、外国人に関する法律案を憂慮

外国人に関する2つの法律の草案は外国人コミュニティに衝撃を与えており、責任ある外国投資を誘致し、人権問題を促進するという政府の優先課題を後退させる可能性があると弁護士やビジネス専門家は言う。
2017年1月30日に開かれる次回のPyidaungsu Hluttaw会議では、外国人に関する法案と外国人労働者法が優先課題とされている。
現在の慣行では、ミャンマーに居住し働いている外国人は、到着してから7日以内に多くの書類を手に入れ、健康診断を受ける必要があり、旅行や移転にも制限がある。
労働・入国管理・人口省が両方の法案の成立を推し進めている。外国人に関する法律は移民局が起草したものである一方で、外国人労働法は工場法及び労働法部門によって起草されたものであった。
両法律が成立すれば、良くても、官僚的な赤字を垂れ流すことは避けられず、最悪の場合で、ナショナリストの反外国主義的感情をむやみに煽り、それによって、潜在的な投資家に対する排外的な雰囲気を作り出すことになると、弁護士や評論家からは叩かれている。
最近公表された外国人に関する法律のドラフトによれば、10歳以上の外国人が90日以上在住する予定である場合、その外国人は外国人登録証明書(FRC)を取得し、常時携帯しなければならないとされている。同様の規定はすでに現行法上にあるが、実際はほとんど使われていない。
この草案に基づけば、証明書を申請しなかった場合、違反者は、最長で5年の間懲役刑を受ける可能性がある。
しかし、最も注目を集めているのは国内旅行である。 FRC保有者がミャンマー国内で24時間以上旅行するためには、「レジストラ」(区の入国管理局の局長、労働局の局長もしくはそれ以上の職位にある者)の事前承認が求められる。
許可を得ずに旅行した場合、最高1年の懲役刑が科される可能性がある。
ビジネスの専門家は、この条項が、外国人投資家を誘致したいが既に国際的には評判に問題がある国に対して、広範囲に渡って大きな影響を及ぼす可能性があると指摘する。
Myanmar Centre for Responsible Businessの取締役であるVicky Bowmanは、法案によって、さらなる行政手続きの遅延が起き、また、いわゆる「ティーマネー」(賄賂)を要求される機会が増えてしまうなど、多くの潜在的な問題を引き起こされると述べた。
「許可取得手続きを含む政府当局とのやりとりが増えることには、賄賂による腐敗のリスクが伴いますので、外国人投資家を非常に心配しています。 これらの法律は、どちらも、日常業務を行う際に複数の許可を必要とするものです。」と彼女は電子メールで述べています。
「ミャンマーと諸外国の技術格差が大きく、投資ニーズが高い今、ミャンマーが成長するためには外国人労働者と外国資本が必要です。それにもかかわらず、この外国人労働法と外国人法の改正の両方が、外国人への市場開放について、否定的なシグナルを送っているのです。」と付け加えた。
昨年、世銀は事業のしやすさランキングで、ミャンマーを190カ国の経済圏のうち170カ国に位置付けた。 手続きの長大なリスト、低品質の司法と遅々として進まない官僚的手続きはすべて、大きな障害となっていた。
しかし、同様の規制がすでに導入されているため、外国人法案の影響は最小限に抑えることができると示唆する者もいる。
VDB Loi法律事務所のシニアアソシエイトであるAnna Makosa氏は、「厳格な執行体制がとられない限り、外国の投資にはあまり打撃を与えないだろう」と述べた。
「執行体制が変更された場合、あらゆる種類の労働者に実際に影響が出ます。 この草案が、特に国連の従業員、国連機関の従業員、およびその家族を除外し、そのような労働者の負担を軽減している点は注目に値します。」と述べた。
また、ミャンマータイムズ紙のインタビューに答えた人の中には、それほど楽観的な見通しを持っておらず、新しい法律を施行する緊急性に疑問を呈する人もおり、彼らは制度的に強制されない保障を望んでいる。
「このような規制と監督は脅しの手段であり、ミャンマーでよくあるハラスメント、恣意的な逮捕や無能な司法機関による適正手続きの拒否などと比較しても、国際法義務の下で許可されているものを上回っている」とVani Sathisanは述べる。Vani Sathisanはミャンマーに3年間在住して国際人権法に取り組み、独立して活動している法律専門家である。
「NLD政府は、NLD自身が確実に政権を握り、人権状況の後戻りを阻止するうえで、ジャーナリストと人権活動家が果たした重要な役割に留意しなければならない」と付け加えた。
両方の法案は、選挙によって選ばれたNLD政府の支配下にある省庁によって提出されている。
移民局によれば、同局は2012年以降、外国人に関する法律の改正に取り組んでおり、現在この案を議会の共同法案委員会に提出しているとのことであった。
「1948年に発表された以前の法律はすでに古く、現状には適さない。したがって、我々は、現行の情勢により沿ったものとなるよう、多くの適用条件と罰則を変更した 」と移民局局長のAye Aye Thein氏は言った。
Aye Aye Thein氏は、法案記載の旅行制限に関して、許可要件は国際基準に準拠しているとし、タイなどの近隣国も同様の規定を持っていると付け加えた。
「外国人が旅行するに際して報告しなければならないというのはそれほど負担になるとは思いません。」と彼女は語った。
もう一つの問題法案である外国人労働者法について、2006年以降起草段階に入ったものであると、工場法及び労働法部門の副部長であるU Nyunt Winは述べている。 同氏は、昨年12月に改訂版が政府に提出されたと語った。
「その目的は、ミャンマーの外国人労働者を管理し、そのリストを作ることだ。」と述べた。
法律が外国投資に影響を及ぼす可能性があると考えているかと尋ねられたとき、彼は、もし影響があるとしても、それによってむしろ責任ある投資家の数を増えるだろう、と言った。
「もしこの法律を本当に理解すれば、この法律は外国人投資家にとってはより良いものであることが分かるだろう。」と述べた。
仮に現在の案で承認されれば、同法によって、同国で働くすべての非ミャンマー市民は4年ごとに退去し、海外から労働許可証を再申請なければならなくなる。
「この法律は国際基準に沿ったものです。」と彼は言った。
レスポンシブルセンターのプログラム・コミュニケーション担当官であるPhyu Phyu Zinは、彼女は確かにこの草案に懸念を抱いているが、今は議会がこの草案についてどのような見直しや議論をするのかを待っていところであると述べた。
「私が最も気にかけているのは、これらの法律によれば、外国人がその一部を違反すると、令状を必要とせずにどこでも逮捕される可能性があるということです。 私の心配は、これが我が国の人権の記録を傷つける可能性があるということです。」と彼女は語った。
(ミャンマータイムズ紙2017年1月27日号第3面より)