アメリカの一般特恵関税制度による短期的な利益は見込めず

アメリカは、ミャンマーから輸出される5000品目につき、一般特恵関税制度に基づいて分類したが、これによってすぐにミャンマーからの輸出が促進されることはなかったと業界関係者は語る。
アメリカ通商代表部は公式サイトにおいて、一般特恵関税制度によるミャンマーに対する優遇税率が復活する予定であると発表した。
優遇税率は本年11月20日に再び有効になったが、これは実に27年ぶりのことであった。
商務省は、新しい一般特恵関税議定書が対象としている商品には、籐、籐の家具、木製家具、カバンやバックパックが含まれていると述べている。
ある地元の木材輸出業者によれば、これまでに、木製品をミャンマーから直接輸入したアメリカ企業はないということである。これらのミャンマー製品の大部分は、シンガポール、香港、タイ、マレーシアなどの第三国を通じてアメリカ市場に流通しているという。
国際的な銀行サービスの利用ができないことが輸出を妨げており、ミャンマーの生産者が現時点で一般特恵関税制度に基づいて実質的な利益を得ることは、まったく不可能であるという。
木材輸出業者のセイン・ウィンは、「昨年4月、第三国を通さない直接の買い手を探すためにアメリカに行きました。」と本誌記者に述べた。
「その時点では、やはり第三国を通じて取引する必要がありましたが、それでも、後で直接買い手を探すこともできたので、私は約2年前に木材製品をアメリカに輸出する許可を得ました。」
「現在、木材製品は特恵関税品目のリストに載っています。しかし、まだ我々は直接の買い手を獲得できていないし、それよりも間接的な市場を通じて信頼できる買い手と繋がるほうが便利です。」と彼は語った。
同様に、特恵関税制度は米穀生産者に大きな変化をもたらすとは考えにくい。ミャンマーの米穀連合会副会長のソウ・トンは、これはおそらく需要の不足が原因だと説明している。
「アメリカは国民がコメを食べている国ではない。だから市場は大きくない。現在、アメリカへのコメ輸出はないため、米穀部門について特別な優遇措置はない。」と述べた。
ミャンマーの米穀連合会関係者によると、あるミャンマーの米輸出業者は、約1万トンのポウ・サム・ウェイ米をアメリカに輸出したが、その結果、アメリカへの輸出は他の海外市場に比して収益性の低い投機的事業であるとわかったとのことである。同様に、今回関税規制の改定が水産物分野に大きな影響を与えることは考えにくい。
海産物輸出業者のトー・ナンダル・ティン氏は、「海産物部門は改定以前から既にアメリカから税金の優遇措置を受けています。」と述べた。
しかし、投資企業管理局のウー・タン・アウン・ジョウ副局長は、輸出が増加するとの楽観的な見通しにも根拠があると述べている。彼は、11月15日にメディアに対し、ミャンマーからアメリカ市場への輸出は一般特恵関税制度への変更を考慮して増加すると見込みであると発言している。
もっとも、彼は同時に、国際基準を満たすという点で、ミャンマーにはいくつかの課題があると指摘した。
「アメリカ当局は輸入される製品の品質基準を定める。いったん我々がこれらの基準に従えば、その後は成功を収めるだろう。」とウー・タン・アウン・ジョウは語った。商務部は、ミャンマーとアメリカの貿易が今後拡大すると見込みであると発表した。 2015年から2016年の間のアメリカとミャンマー間の貿易額は、輸出で8,800万ドル以上、輸入で1億8,700万ドル以上であった。
(Myanmar Times 2016年11月17日版 第10面より)