イオンミャンマーでの企て、スーパーマーケットの不確実さを強調

ミャンマーで収益性の高い小売分野における日本の小売大手イオンの野望は、外国企業に関連する取引である限り行うことを認められる事業が何なのかという不確実性を強調することになり、国内産業の代表らは、これを受け国内及び海外事業家にとって平等な競争条件を求めている。
イオンはミャンマー企業のCreation Myanmar Group of Companies(CMGC)との合弁企業であるイオンオレンジに対し、資本金810万米ドルの大半を出資した。この新会社は8月1日に、CMGC系列会社から取得したスーパーマーケット14店舗で営業を開始し、1年以内に新店舗を開店させる予定である。
イオン企業広報部キタガワヨウスケ氏によると、ヤンゴンとマンダレーに既存するスーパーマーケットと新店舗は、全てイオンオレンジブランドとして運営される。
イオンの参入は絶大な成長の可能性がある分野に対する重要な外国投資を記念するものである。急成長中のミャンマー市場においてスーパーマーケットを運営する企業はごくわずかであり、2014年の国内小売分野に関するバンコク銀行の報告によると、2030年までに消費者支出は350億米ドルから約3倍の1,000億米ドルになると推定される。
しかし取引規制の不確実性は、国内企業と外国企業の合弁企業が参入できるスーパーマーケット事業の範囲を不明確にしている。
ヤンゴンにあるLincoln法律事務所の弁護士Sebastian Pawlita氏によると、外国企業が投資企業管理局(DICA)に登録する際、「取引事業を行わない」という約束に署名しなければならない。
しかし規制上「取引」の正確な定義は存在しないと、VDB Loiのシニア弁護士Edwin Vanderbruggen氏は指摘する。彼によると、一部の職員はこの規制が輸入とその後の製造や加工を伴わない販売に適用されるものだと主張する。
「それは確かに、外国企業に対する輸入ライセンスの拒否によって実施される方法である」と彼はいう。
商務省は2015年11月に貿易の長期制限を緩和し、地元企業と提携していることを条件として外国企業に対し肥料、受精種子、殺虫剤、医療機器の輸入を認めた。先月には、これが建設資材にまで拡張された。
しかしこの非常に限られた商品の外は、外資現地合弁企業は省からの特別な許可を必要とする。
ヨウスケ氏は、イオンオレンジは商品輸入の許可を省に申請していないという。企業は代わりに、外国企業にとっては挑戦的で試験的な戦略、つまりミャンマー企業でライセンスを持つ企業(今回はCMGCである)が、合弁企業が販売する商品を輸入するという方法により行っていた。
その一方で地元企業は、サービス企業として登録しながら取引を行うイオンオレンのような合弁企業を認める抜け穴を快く思っていない。
現時点でイオンオレンジスーパーマーケットは依然として既存の在庫を販売しており、合弁会社はまだ輸入を開始していない。合弁会社は主に最終的に販売の20%から30%を占める商品を主にタイと日本から輸入する予定であるとヨウスケ氏は述べた。
しかしイオンオレンジの事業の大部分を占める国内生産品の売買に関する規則も不明確である。Pawlita氏は、「一般的な理解」によれば、DICA登録手続きの一環としての取引禁止は、国内製品の売買も含んでいると話す。
「理論的に、競合他社は合弁企業の登録解除をDICAに働きかけることができる」と彼は言う。
ミャンマー小売業者は、政府が行う同分野の規制に明らかに不満を抱いている。ミャンマー小売協会の代表でありスーパーマーケットチェーンCity Martの代表取締役Win Win Tint氏は、現地企業は不利になると述べた。
彼女によれば、ミャンマーの新生金融分野は国内企業に対し、彼らの国際企業と同様の融資を提供することはできない。またミャンマー投資委員会(MIC)は、新たに登録されたMIC許可を持つ外国企業に対し、例えば5年間の所得税控除といった、税制上の優遇措置を付与する裁量権を有している。Win Win Tint氏は、このような措置はミャンマーの発展を支援する分野にのみ適用されるべきだと考えている。
国内輸入業者を利用し貿易制限を回避する外国企業を防ぐほか、政府は貿易分野における外国の関与に対する立場を公にする必要があると、彼女はミャンマータイムズに語った。「現在の不確実性によって、ミャンマー企業は先の計画を立てることができない」と彼女は述べた。
貿易にかかわる規制の明確化は困難である。書記官としてDICAで働くミャンマー投資委員会のメンバーAye Lwin氏は、取引制限が、外国企業に対する国内製品の売買を認めるものかどうかは不明であると述べた。
DICA局長Aung Naing Oo氏は、商務省の政策では、合弁企業に対しスーパーマーケットの運営を含む取引に従事することを認めてないが、MIC許可を取得した場合には認められうると指摘する。
この許可は一般的な企業登録手続きに追加されるもので、この政策に関する省とMIC間の協議は依然進行中である。しかしイオンオレンジは、MICのこの許可を「まだ適用されていない」とAung Naing Oo氏はいう。
イオン、ミャンマー事務所の副代表タケカワヨシノリ氏は、同社は政府の「ガイドラインと指示」に従い、ミャンマーで営業するのに「必要な許可」を取得したと述べた。
Aung Naing Oo氏はイオンオレンジのMIC許可の未取得、また将来外国企業に同様の許可を発行することに関しどのような政策がとられるのかという質問に対し答えることはなかった。
Lincoln法律事務所は、外国企業に対し取引を禁止する明確な法的根拠はなく、「2002年に突然設定された行政慣行」があるのみであると指摘した。
再販売を目的としミャンマー企業を通じ商品輸入を行うことを外国企業に対し禁止することは「絶対的なものは何もない」のであり、外国企業が国内製品を購入し販売することを禁じるものもないと、Vanderbruggen氏は述べた。
「実際に許可されるかどうかは、意図的に不確定のままにされているように思われる」と彼は述べた。
(Myanmar Times 2016年8月19日版 第11面より)