先日米国制裁リストから外れた3国営金融機関のうちの1つMyanma外国貿易銀行(MFTB)は、4月に現政府が発足したことを受け、計画金融省からの指示に基づきサービスを向上するよう努めているという。
1976年に設立されたMFTBは長年金融取引と外貨市場を独占していたが、2012年に市場が自由化されて以来、効率的で競争力のある民間銀行の登場により市場シェアを急速に失った。
新財務省の100日計画の一つとしてMFTBは規制規約を廃し、新しいサービスを提供するよう求められたと副局長Myint Myint Maw氏はミャンマータイムズの取材で語った。
同行は国内で10万人以上の口座保持者を持つと知られており、現在、ヤンゴンに1支店を設け、顧客のためのインフォメーションデスクを設置している。
Myint Myint Ma氏は、旧政権下の長きに渡り、顧客の些細な要望にも頭取の承認が必要だったが、4月以降、決定権は部長レベルまで広がり、以前は3日かかっていた承認手続きが半日になるなど大幅な効率化につながったという。
また今ではチャットで預金可能な口座を開設することもできる。貿易業者もまた銀行が設定するレートに基づくチャットでの輸入の支払いができ、この変更により顧客の為替リスクを減少させることができるという。
「これにより米ドルによる巨額購入の問題点を減らし、通貨変動から保護することができる」と彼女は語る。
最近までMFTBはほぼすべてが手動で運営されており、輸出入業者は支払いの都度銀行に出向く必要があった。引き出しは一回1万米ドルに制限されており、輸入品の出荷支払いに対し十分な額を引き出すには10日から15日かかっている。
5月に財務省からの要請を受け、同行は初めて現金取扱店舗を開設した。ヤンゴン国際空港にあるこの店舗は、ミャンマーで初の多通貨に対応したATMであるとMyint Myint Maw氏は述べた。現金引き出しサービスに加え、利用者は米ドルや他の通貨を機械に入れミャンマーチャットで受け取ることができる。
同行は他に支店がないことから、ほかにATMを設置する予定はないというが、他行のATMから現金を引き出し使用することができるデビットカードの発行を開始している。
5月に下された特別指定国民リストからMFTBを削除するという米国財務省の決定は、銀行が米ドルを自由に動かすことができることを意味する。残り2つの国営銀行-Myanma経済銀行、Myanma投資及び商業銀行-も同時にリストから削除されている。この3行は2003年に制裁を課せられて以来、10年以上取引の支払いに米ドルではなくユーロなどの他の通貨を使用してきた。
「制裁が解除されると直ぐに、かつての顧客の多くが戻り新しい口座を開設した」とMyint Myint Maw氏は述べた。
Myint Myint Maw氏によると、上級職員もまた、制裁がミャンマーに課せられた当時から10年以上関係のある米国銀行と連絡を取り始めている。更に、MFTBはシンガポールのOversea Chinese Banking Corporation(OCBC)とサービス向上について協議を行っているというが、詳細な情報は得られなかった。
民間の銀行は2014年に市場に参入した外国銀行の支援を受け競争の激化に迅速に適応し、サービスを改善してきたが、ミャンマーの4つの国営銀行は取り残された。
国際通貨基金と世界銀行は経営方針の変更や合併による近代化を政府に提案してきたが、その進展はゆっくりである。
新銀行法はミャンマーの金融機関に対しこれまでで一番厳しい条件を設定しており、MFTBはこれに従い200億チャットまで振込資本金を引き上げ、預金準備率(運用せずに備えておかなければならない銀行の預託金の割合)の新たな条件を満たすよう努力しているとMyint Myint Maw氏は話す。
国営銀行が銀行間外貨取引市場への参入を不本意として、米ドルを貯め込んでいるという民間銀行からの告発に対し、彼女は、銀行は提携する外国銀行へ期日通りに支払いを行うために予備金を必要としていると応えている。
「中央銀行は過去に日替わりレートで我々の米ドルを販売するよう要請し我々は従ったが、中央銀行は我々が(外貨を)必要とする時にはこれに応えることができない」中央銀行は売却された米ドルの約10%しか中央銀行の利益にならないと彼女はいう。
「他にも、輸入業者がチャットで支払ったにも関わらず、外国銀行に米ドルで支払わなければならないという問題もある」と彼女は述べた。
(Myanmar Times 2016年7月8日版 第12面より)