ミャンマー中央銀行はモバイル・ファイナンス・サービスに関する規制を発表した。これにより、これまで非銀行金融機関も含めた銀行に制限されていた市場が拡大する。
中央銀行は昨日、ミャンマーで効率的且つ安全なモバイル・ファイナンス・サービスの実現に向けた法的枠組みを構築することを目的に、先月末にモバイル・ファイナンス・サービスに関する規則を制定したと発表した。
国がこのようなサービスを認めたと評価する人もいるが、5,140万人いる国民のほとんどが銀行口座を持っておらず、金融業界への不信感は高いままである。
「人口の大半は非銀行利用者層であり、残念なことに、その多くは従来から“銀行口座を持つことができない”人々である」「モバイルマネーは全てを変え、あらゆる人が金融サービスを利用できるようになる。彼らに必要なものは携帯電話とIDだけだ」とモバイルマネー提供会社Frontier Technology Partnersの共同設立者Thura Soe Paing氏は語る。
Frontier Technology Partnersのmykyatサービスは、まず中央銀行のライセンスを得たFirst Private銀行のもとで提供される。同銀行はこのサービスの共同所有者である。
一方で、同業他社も銀行頼みであり、663モバイルマネーはMyanmar Citizens銀行の支援を受けており、ミャンマーモバイルマネーはInnwa銀行と提携している。
市場での競争が過熱しているにも関わらず、これまでどの業者もモバイル・ファイナンス・サービスを提供するにいたっていない。なぜなら、ようやく中央銀行総裁Kyaw Kyaw Maung氏が同事業に携わる非銀行系金融機関の明確な許可条件を定めた規則を制定したばかりだからである。
新しい規制(中央銀行ウェブサイトで非公式翻訳が入手可能)によると、モバイル・ファイナンス・サービス事業者はチャット建ての出入金取引、送金、国内取引といった多くのサービスを提供することができる。
しかし規制の草案とは異なり、国際送金取引の国内受取を完成させることができなかった。モバイル・ファイナンス・サービス事業を行おうとする企業は、最低30億チャットの資金を用意し申請費として3億チャットを支払わなければならない。
Yoma銀行とノルウェーのTelenor Myanmar社が提携し立ち上げたWave money社は、ライセンス申請されると見られる。
Wave money 社CEO Brad Jones氏によると、新しい規則によって、事業者は銀行との提携を保つよりも顧客を獲得するために合弁企業を設立するようになると予想する。
「(私たちは)非銀行金融機関として中央銀行の規制を直接受けることになるだろう」と彼は述べた。
「私たちは中央銀行に申請し、満足のいく結論が得られと期待している」。
Wave Money社はすでに商用テストに着手しており、これを不公平だと訴える人もいる。
ミャンマータイムズの編集者宛に届いた無記名の手紙には、Telenorは競争を有利に運ぶためにモバイル・ファイナンス・サービス規制の草案を無視したという。
「Mykyatやミャンマーモバイルマネー、663Citizens Bank、Ture Moneyなど、差別されてはいけない。誰もが平等に扱われるべきである」と記されていた。
一方Jones氏は、Wave Money社は商用テストを許可されており、マーケティング以上のことは行っていないという。
「今やっと私たちはミャンマーの顧客へより良い商品を提供することができるようになった」。
「競争は過熱してきており、私たちはこれを歓迎する」と彼は述べた。
Wave Money社は許可される見込みである。Ooredoo社のCEO Rene Meza氏は昨日、モバイルマネーはミャンマーをターゲットとした企業戦略アプローチの1つであると述べた。
「(私たちは近々)決まりに則って申請を行う」という。
一方、業界関係者は顧客を流行に乗せることは非常に難しいだろうと述べた。
「顧客の信頼を得ることはモバイル・ファイナンス・サービスの爆発的成長をかけた大きな挑戦、いやむしろ転換点である」良い顧客サービスと幅広い販売ネットワークが重要であるとMeza氏は語る。
「技術の信頼性が基本である。あなたはここで、人々のお金を扱うことができる」。
(Myanmar Times 2016年 4月6日版 第9面より)