ミャンマー中央銀行、銀行に即時決済導入

ミャンマーの銀行システムは近代化に向けた新たな一歩を踏み出した。中央銀行(CBM)の新たな清算・決済システムサービスは銀行に日々の取引における『巨大な違い』をもたらすだろうと、銀行員はいう。
新しいシステムへの対応準備を行う現地銀行員によると、日本国際協力機構(JICA)の支援を受け構築された待望のシステムは2016年1月6日に運用開始を迎えた。
CBM-Netと呼ばれるこのシステムにより、ミャンマーの金融機関は即時グロス決済 (RTGS)を利用でき、これまで手仕事だった支払い決済手続きがほぼ全て電子化される。
ミャンマー経済の支払いは主に現金であり、個人間の送金によって同銀行の支店間や異なる銀行間での物理的な現金の移動が必要となることもある。
古いシステムの下では、ある個人が振出した手形の清算を他銀行の口座に対して行うことは時間がかかるものであった。
中央銀行に出向き、手形の振出人が口座を持つ銀行からその振出人が手形を振出すのに十分な資金を持っているか口頭で確認する必要がある。
銀行は毎晩中央銀行に、清算・決済の送金証明書を提出しなければならない。
「それは面倒かつ複雑であり、さらに手作業なのである」とある外国銀行の支店職員は古いシステムを説明した。
新しいシステムでは、中央銀行とミャンマーの国内にある銀行はCBM-Netを通して繋がる。
これにより異なる銀行の異なる口座からの引き出しや借り入れの指示が、瞬時に自動的に行われることが可能となった。手形はCBM-Netシステムに連携した交換システムによって清算される。これも先週、運用を開始した。
またRTGSは、ミャンマーが現在構築に取組み始めた現代資本市場には不可欠である。新しいシステムでは、数カ月前に開設したばかりのヤンゴン証券取引所における初の国際公募や新規公開株(IPO)といった国債や株式取引の決算も可能となる。
「それは、国債や株式に対する支払いや取引の安全性など金融システムに関連している」と外国銀行の職員は述べた。
ミャンマーの銀行にとって一番のメリットは、時間を節約できることである。
「新しいシステムの使用を開始し、清算手続きがよくなった」と、ヤンゴンのCB銀行の事業開発戦略部門の代表Rona Rakhit氏は述べた。
「取引時間を大きく削減できた」
金融機関が新しいシステムを最大限に活用するには時間がかかるだろうと彼は付け加えた。
現地銀行の代表は2015年9月ミャンマータイムズに、RTGSは基幹となる銀行システムを導入していない国内銀行にとって挑戦となると語った。
しかしこの段階でほぼ全ての銀行は、ファイバー接続とデータセンターを準備していると、CBM-Netシステムに協力しているミャンマーペイメントユニオン(MPU)の副会長でありMyanmar Oriental Bankの会長であるMya Than氏は述べた。
考えられる問題一つとして、銀行が手形交換システムを使用するには規格化された手形を使用しなければならないことであると、Myanma Apex Bankの顧問は述べた。彼は、これを使用しない銀行は、依然として中央銀行を通した手作業の清算を行う必要があると助言した。
しかし通常、持続性は基盤の不足やCBM-Netの技術的問題であるため、銀行は数カ月でシステムになれ、様々な手続きを簡単に習得することができるであろう。
「私たちは始めたばかりである」と彼は述べた。「いくつかの銀行は慣れるのに時間がかかっているが、それはシステムの問題ではなく能力の問題である」。
何人かの銀行員は昨日、新しいシステムの機能に関して不安を漏らした。彼らは米ドルといった外国通貨の口座への支払いが可能かどうか、あるいはミャンマーチャットのみ認めているのか不明確だという。中央銀行は本件への言及を避けている。
どちらにしても、即時決済や清算はまだ行われておらず、新しいシステムに不慣れなことが原因であるとRakhit氏は述べた。
CBM-Netはミャンマーに拠点を置く国内、外国銀行と中央銀行とをつないでいるが、他の企業や国外の銀行との接続はないと、システムの可能性に関して楽観的なヤンゴンに拠点を置く銀行員は述べた。
「私はこの6カ月間で何が行われるかで大きな違いが生まれると考えている」と外国銀行の行員はいう。「これから3か月から6か月は、全ての人が使いこなせるまでいろいろあるだろう。だがこのシステムは非常に信頼できると思う。このシステムには巨額の資金が投資されており、日本はこの計画と現地の訓練に長い時間を費やしているのだから」。
(Myanmar Times 2016年1月12日版 第9面より)