不動産購入者が抱える非公式契約書のリスク

多くの不動産購入において法的所有権の移転が不十分な非公式の契約書が使用されており、法廷で争うこともできないと、内国歳入局(IRD)の上級職員はミャンマータイムズに明かした。
アパートやコンドミニアムといった様々な不動産の購入は、通常非公式な契約書を使って行われる。しかしIRDの税務署で働く職員によると、これでは裁判で所有権を証明しようとしてもできない恐れがある。
だが、アパートの売買契約ではよく法的所有権の移転に必要な項目を完備していない販売契約書が使われ、そのため法廷において所有権を証明することができない。
買手が既に所有している土地上の建物であっても全ての不動産取引において、買手は法的所有権を得るためのすべての手続きを踏む必要があると、職員は述べた。
「しかし購入者の多くはこれに気づいていない」「非公式な契約書を使用しているため、所有権を問う裁判では勝つことはできないだろう」と彼はいう。
買手は、世帯リスト、身分証明書の写し、不動産の写真、不動産の売買契約書原本などの多くの書類を提出する必要がある。書類は不動産の価値を評価する地区の評価委員会に提出される。
その次に、買手は関連税務署に印紙税と所得税を支払い、その納税の証明を登録する。管轄の地区役場で必要な書類をすべて登録した買手のみ完全な法的所有権を得ることができる。
「私たちは不動産購入者に対し税金を払い正式な所有権移転手続きをとるよう勧めている」と職員は述べた。わずかな人しか所有権移転手続きをとらないため、歳入は落ち込んでいる。
数年前に非公式な契約書を使用し不動産を購入した人が、所有権登記を行うためには、新たな購入者として収入税と印紙税を支払う必要がある。しかしこれには更なる課題がある。所有権登記を求める数年前の購入者に対し、売手はしばしば署名するための手数料を請求している。
「そのため私たちは、不動産を購入後すぐに正式な所有権登記を行うよう買手に訴えたい」と職員はいう。
しかし、多くのアパートオーナーは最終的な地権者の署名を使用して、不動産の売買を行っている。ごく一部の人のみが法的な所有権登記の変更手続きを行っていると、ミャンマー不動産協会の副会長Than Oo氏は述べた。
所有者を明確にし、購入予定者がアパートを抵当に入れることが出来るようになる法律は、歓迎される。しかし長く遅れているコンドミニアム法は、残念ながらすぐには通過しそうにない。融資を受けられない購入者は、必要な納税と所有権登記を行いたがらないと、Than Oo副会長 はいう。
「建設企業や地主が所有するアパートは、企業や地主からお金を与えられた人々により購入されている」という。
昨年の4月時点では、1億チャットまでの不動産取引には最低税率である3%が、5億チャットまでは5%、10億チャットまでは10%の収入税が課される。
「3億チャットの価値のある不動産を例とすると、バイヤーは初めに1億チャットに対し3%が課税され、その後残りの2億チャットに対して5%が課税される」と職員は述べた。
「つまり、バイヤーは3億チャット取引においては1300万チャット支払わなければならない」。
15億チャットまでの取引には20%課税され、15億チャット以上の不動産取引には上限の30%が課税される。買手はまた印紙税(ヤンゴン市の場合5%、他は3%)を支払う必要がある。売手は一律10%を払わなければならない。
(Myanmar Times 2016年 1月4日版 第9面より)