店頭株価、新証券取引所開所に先んじて上昇

投資家はヤンゴン証券取引所の最初の上場を待ち望んでおり、国内初となる現代的な証券取引所に上場することが期待される多くの株式公開会社の店頭株価が上昇している。
本日、ヤンゴンで証券取引所は開所したが、証券会社はまだ営業準備が整っておらず、企業もまだ上場していないため、この開所は単なる象徴でしかなかった。
どの企業が新規公開株(IPO)を行うか多くの推測が飛び交っている。上場基準を満たす企業の発表はまだ行われていないが、証券所開所に合わせて、本日発表されることが期待される。
一方で、証券所に上場する意向を示している企業の株式への需要は高まっている。投資家はFirst Myanmar Investmentが最初の上場企業になると考えており、同社を所有する実業家のSerge Pun氏は繰り返し、同社は準備ができていると語った。
全てのミャンマーの実業家の中でPun氏は、最も上場会社の経営に精通している。彼が重点的に力を入れている不動産代理業のYoma Strategic社は、唯一海外での上場に成功した複合企業であり、シンガポール証券所に上場を果たした。
同社のウェブサイトによると、FMIの株式価格は今年12月初めに18,500チャットと昨年同時期の10,000チャットから上昇しているが、FMIの株式を販売するブローカーは、市場価格は20,000チャットから22,000チャットの間で推移しているという。証券取引所の開所日が近づくにつれて、株主はここ数カ月間の販売に消極的になっているという。
「これは、会社が再び評価されるまで、直接取引もしくは株式を保持していることによる」と彼は述べた。2014年1月、FMIは1株10,000チャットによる250万株の新株発行を実施した。
株式は店頭ブローカーを通すか同社で直接販売され、取引相手が見つかるまでそのままである。
他にも上場を目指すMyanmar Thilawa SEZ Holdings Public(MTSH)もまた、需要が高い。同社が昨年の2月に売り出した際、募集額210億チャット(1,630万米ドル)に対し2.5倍以上の申し込みを受け、株価は10,000チャットから15,000チャットと上場申請後すぐに跳ね上がった。
MTSHの株価は、売買が締め切られる11月末前には50,000チャットまで高騰した。同社広報担当者によると、売買は12月20日に再開する。
一方Myanmar Citizens Bank(MCB)の株式は新しい証券所での上場計画を発表した後、たったの3か月で完売した。同社は1996年に開所したミャンマー証券取引センター(MSEC)に登録されている2社のうちの1社である。もう1社はForest Products Joint Venture Corporationである。
MCBの Swe Swe Myint頭取は、当行は5,000チャットで株式を販売しているが、市場価格は6,000チャットであると述べた。
彼女は「私たちの計画を新聞に掲載した後、全株式は1か月から3か月の間で売り切れた」「私たちは正式発表を待っており、承認されたらすぐに証券会社を雇う予定である」という。
MCBはヤンゴン証券取引所(YSX)に申請し、上場に必要な書類を用意している。
ヤンゴンに拠点を置くトレーダーによると、すでに株式を発行しているMandalay Myotha Industrial Development Public Company, Golden Myanmar Airlines, Myanmar Agribusiness Public Corporation(MAPCO)といった企業や、First Private Bank、Global Treasure Bank Public Companyなどの銀行も上場を目指している。
過去ミャンマータイムズが伝えた通り、発行済み株式数約601,000(1株当たり50,000チャット)のAsia Green Development Bankは、YSXに対する趣意書をほぼ完成させており、同時に、認可が下りることを前提に新規公開株発行の準備を行っているという。
投資家は、企業が上場して初めて、自身が所持する株式の本当の価値を知ることになる。過去には、株式公開会社により新規株式が発行された時の評価が、前年の価格に10%加えた額という「露骨に作られたもの」だったことがしばしばあったと、Thura Swiss consultancyのAung Thura氏は述べた。
ミャンマーには200以上の株式公開会社があるが、その多くはYSXの上場基準を満たしていないと元MSEC 所長Soe Thein氏はいう。ほとんどが株主と経営者を区別しておらず、タイムリーな情報公開とコーポレートガバナンスが欠如している。
「企業が公平な競争に必要なレベルの情報公開を十分行わなかった場合、インサイダー取引による市場操作や紛争が起きる」、投資家は依然として経験が必要であると彼は指摘した。
Aung Thura氏が言うように、過去、株式公開会社は十分な監査なしに経営することができた。FMIが今年度の報告基準を改善した一方、多くの企業はまだ国際基準に達していない。
証券取引法は趣意書に関する規定において、企業は、その歴史や市場における地位、上場申請以前も含め抱えるリスクなどの情報を開示しなければならないとしている。
証券取引委員会は規制者としての役割を確実に果たし、支援を行わなければならず、「証券取引の実務的機能と距離を置くべきであり、上場企業に目を光らせ続けなければならない」とSoe Thein氏は語る。
証券所で使用されるソフトウェアのセキュリティを管理する法規制もまた、強化しなければならない。大和総研は証券所にハードウェアを提供している。
MSECのThet Tun Oo社長は、規則は一旦市場が立ち上げられると強化され、運営が十分に機能する前に時々適用されるだろうと考えている。彼によると、最初のIPOは、証券会社、ブローカー、ディーラーがライセンスを得るまで開始されず、この手続きはまだ始まっていない。
証券会社10社が引受人としての営業を計画しており、投資企業管理局に登録した子会社と資本金として150億チャット(1,150万米ドル)を払い込むことによりライセンスが付与される。
証券所は2つの日本企業(東京証券取引所を運営する日本証券グループ、昨年の12月23日に主要国営銀行のMyanma Economic Bank(MEB)と契約を締結した大和証券グループ)
により49%所有されている。
(Myanmar Times 2015年12月9日版 第8面より)