昨日公開された世界銀行のビジネス環境ランキングの「事業立ち上げ」部門において、ミャンマーは160位と、昨年の189ヶ国中189位という結果から急上昇した。
これは、同ランキングの中で最も改善した国となる。
総合ランキングにおいては、ミャンマーは167位となり、昨年から10位上昇し世界下位10か国を抜け出した。
しかし、アセアン諸国の中では最下位であり、アジアの中でもアフガニスタン、バングラデシュを除き最下位である。
世界銀行の年次報告書「ビジネス環境の現状:質と効率の評価(Doing Business 2016:Measuring Quality and Efficiency survey)」によると、アジアの先進新興国等が上位20位内にランクインしている。
シンガポールは10年間連続で1位である。ニュージーランドが2位、韓国が4位、香港が5位、台湾が11位、オーストラリアが13位、マレーシアが18位である。
調査によると、ベトナム、香港、インドネシアはアジアの改革を主導しており、ミャンマーもまた短期間での改善を見せたが、改善国上位10位へのランクインを僅差で逃した。
具体的な改善点は、事業立ち上げと電力供給の確保の容易さである。
当局は、現地企業の設立に必要な最低資本金を廃止し、法人設立手順を改善した。世界銀行はこれを「中小企業の時間と資金の節約につながる」と評した。
また、政府は電力省が各接続の申し込みに対し国家レベルの承認を下す際の要件を破棄し、ヤンゴンにおける新規の通電開始にかかる時間が短縮された。
政府は引き替えに税制を改悪した。社会保険料の上限の引上げと雇用者負担率の引上げ、商業税の還付に必要な書類の追加、四半期に一度の所得税の申告と支払いの導入と、法人税を複雑にし、引き上げた。
また同報告書において、ミャンマーの裁判所は「低品質の司法手続きかつ時間と費用のかかる紛争解決機関」に選出されている。
世界銀行は、ミャンマーの企業が裁判所を通じて契約を有効とするには約3年かかり、訴訟額の半分以上の費用がかかると評している。
「国の裁判システムは、訴訟の管理、裁判の自動化を一切行わず、商業裁判に特化した裁判所や小規模の事件を扱う裁判所がない。これらすべてが司法手続きの品質の指標におけるミャンマーの低スコアに反映している」。
対照的に、シンガポールの地方裁判所での商業紛争の解決には150日と世界最短時間しか要さず、費用も訴訟額の25.8%である。
世界銀行によると、コスタリカ、ウガンダ、ケニヤ、キプロス、モーリタニア、ウズベキスタン、カザフスタン、ジャマイカ、セネガル、ベナンの10か国が、ここ数年間で最も経済が改善した国である。
「確実な改善を見せるミャンマー、ブルネイ、コンゴ共和国3ヶ国は、それぞれ、事業をしやすくする改革の3つのうち2つしか行っていなかったため、最も経済が改善した国に選出されなかった」と述べた。
(Myanmar Times 2015年10月29日版 第9面より)