数百もの外国為替ライセンスが取り消される

ミャンマー中央銀行(CBM)は、ドル化に対抗するため、ホテルや航空会社をはじめとする何千もの企業が保持する外国為替ライセンスを廃止する。
この政策は本日から実施される。企業は2015年11月30日までにミャンマー外貨管理部門(FEMD)にライセンスを返還しなければならないと、中央銀行職員はミャンマータイムズの取材に応じた。
彼によると、銀行と両替所は外貨を両替することは出来るが、通信サービス、航空会社、旅行会社、ホテル、病院、運送会社、スーパーマーケット、免税店、土産物店は外貨両替を諦めなければならないという。
軍営のUnion of Myanmar Economic Holdingsもまた、ライセンスを返還しなければならないという。
これは、この決定が確認された2015年10月16日にCBMのウェブサイトで公表された。
同職員は、この政策が、特に観光産業でのカード払いを促進することを期待しているという。POS(ポイント・オブ・セールス)システムは勢いを増しているが、まだ広く使用されていない。
外貨管理法が制定された2012年以来、銀行以外の事業者であても外貨取引を認められている。
しかし、銀行や非銀行の両替商を通して米ドルや他の外貨を容易に入手することができる今、これはもはや必要ない、と同職員はいう。
「ライセンス無しで外貨取引を行うことは違法であるが、私たちは10,000米ドルまでの個人取引の実施を認めている。これはある種の混乱をもたらしている。私たちの新しい政策はこの混乱を解消するであろう」と彼は述べた。
外貨管理法は、2015年5月に改訂された。第38条によると、ライセンス無しでの外貨取引は違法である。違反者は、最長3年の懲役又は罰金、若しくはその両方が科せられる。
銀行や両替商を含めた外貨両替ライセンス保持者は、どんな場合でも、現金で50,000米ドル以上保有することは出来ないと彼は述べ、5年ごとに10万チャットの手数料を払いライセンスを更新しなければならないと付け加えた。
FEMDの副局長U Win Thaw氏は、銀行が十分に外貨を供給できるよう試みると述べた。「この政策はドルの需要を下げ、物価を保護するのが狙いである」と彼は述べた。
驚きの発表は、不動産やレンタカー事業といった米ドル払いを受け入れている企業に影響するとみられる。
コメ輸出者でFarmer Auto Showroomの社長であるU Soe Tun氏は、貿易業者に与える影響は小さいが、ホテルや旅行代理店、免税店にとっては大きく影響するだろうと述べた。
また、航空会社やレストラン、アートギャラリー、宝石店のような観光産業は、外国人旅行者の米ドル払いを受け付けているため苦しむ可能性がある。
政府は今年の旅行客を450万人、2020年までに750万人に増加させることを狙っているが、これらの多くの旅行者は中国やタイからの日帰り観光客であると専門家は述べた。
10月16日の中央銀行の発表によると、米ドルでの商品やサービスの支払いを好む人が増えていることがドル需要に拍車をかけ、チャットの重要性が減少し、為替レートの不安定につながっているという。
公式レートによると、昨日は1ドル当たり1284チャットをつけ、今年、米ドルに対してチャットは約25%下落している。だが、6月から7月にかけて急速に下落した後、レートはここ数か月安定して留まっている。
米ドル高やミャンマーで拡大する財政赤字など様々な要因が、チャットの弱さに繋がっている。
弱いチャットは輸出の競争力に拍車をかけることができるが、CBMは多くの政策の変更を行うことで、ドル化を減少し通貨を安定させようと取り組んでいる。
5月、中央銀行はドル使用の減少を目的とした2つの命令を発表した。
一つは、政府機関に、チャットのみの支払いにするよう求めた。また、個別文書で、国内銀行口座からの米ドルの引出し額を1週間10,000米ドルに制限した。
ただ、中央銀行は民間セクターで使用する米ドルを規制する前に、いくつかの警告を与えるだろうとFEMD職員はミャンマータイムズに以前述べていたのだが。
6つの民間銀行がThein Phyu Roadに両替所を開設した2011年以来、ミャンマーでの外貨取引を政府は許可している。
翌年、中央銀行は、公式レートが1米ドル6チャットという闇市場よりも100倍以上強かった35年間のデュアルレートを終了し、政府管理下の変動為替相場制度を設立した。
今年初めは、CBM職員が弱体化から通貨を保護しようと試みる一方で、公式レートは市場レートから15%も乖離していたのだが、管理フロートは全体的に良く機能している。
CBMが再び公式レートを市場レートに合わせるまでの間、投機と米ドルの買いだめにより外貨の不足に繋がった。
根本的な構造の問題と今年後期に予定される米国での利上げの見通しでは下落することが予想されるが、その後レートは比較的安定して留まっている。
(Myanmar Times 2015年 10月19日版 第8面より)