収益性の高い採掘セクターをさらに外国投資向けに開放することを認める法案が、物議を醸すなか、下院議会に対しこれで三度目となる提出が行われた。
1994年に制定された採掘法を更新する待望の改正法案は、上下院間の激しい意見の不一致のため今年早々に中断された。
改正案の重要部分は、政府の歳入を押し上げるミャンマーの天然資源セクターに、新しい外国投資をもたらすことを可能にすることである。
下院議会の法案合同委員会により提出された最新の草案では、初めて中小採掘企業への外国投資を可能にするよう条項が改正された。
しかしまた、改正案では、外国企業は鉱床の規模や品質に応じて、特定の付加価値的サービスや取引活動に従事できるとなっている。
これが、上下院間での議論の焦点となっている。
上院議会により承認された小規模現地企業との合弁企業への外国投資を可能にする動きは、市場から小規模現地企業を追い出すリスクがあるとして下院議会により阻まれた。
既存の法律は、大企業への外国投資のみ認めている。無数の要因に基づくこの規制は、外国の関心を削いでいる。昨年度の採掘事業への外国直接投資は、石油・ガスセクターの32億2,000万米ドルと比較して、単独の事業において620万米ドルであった。
次に注目すべき草案の変更点は、投資の承認と事業の監督を行う所轄をめぐる争議の解決を目的としていることである。
上院議会は、この権限は州、管区政府に与えられるべきであり、採掘省に投資の承認機関となる各々の首長を議長とする州及び管区委員会を成形することを認める条項が必要だと考えている。
同議会の主張は、プロットの調査、見込み、評価や大中小規模の生産活動、鉱物の改良や販売、工業用原料のための採掘に対する許可は、管区レベルで行われるべきだとする。
その一方で下院議会は、セクターを監督する政府の権限を移行する場合、継続的に履行することは難しいとみている。
法案合同委員会が折衷案として提案した改正法案では、「当該省庁は、政府の承認に基づき巨大なプロットの精査、許可のための州または管区委員会を設けることができる」とし、このような委員会は「申請が精査された後、省からの承認をもって労働許可を発行することができる」とした。これらの改正案は、今一度議論されている。
2014年11月に下院議会で初めて法案が協議された時、21条項のうち8つと、8つの追加提案のみが両院で承認された。5月と6月に行われた他の見直しでは、3つのみが承認された。
Thura Shwe Mann議長はその後、憲法の付則2が改正されるまで議論を中断した。この改正は7月になされ、天然資源における更なる権限を州及び管区政府に移譲した。
ミャンマータイムズは議員と連絡を取り改正案を受け入れるか尋ねたが、明確な回答は得られなかった。
ヤンゴン管区の無所属議員Phone Myint Aung氏は、「それは面白い。誰が容認するのか楽しみだ」と回答した。
他の条項は、上院や下院での承認に基づき改正される。
契約期間、税制、外国企業による投資条件に関し更なる相違点がある。
既存の法律に基づくと、採掘省は非持分パートナーとして作用するが、依然として所得税やロイヤリティーに加え、鉱石抽出の約30%を受け取る権利を持つ。
また外国人は、鉱石、石炭、金の輸出を禁止されている。移住問題では、企業はわずかな補償ガイドラインをもとに自分自身で交渉するしかない。また初期評価以降、開発の各段階で新しい許可を申請する必要がある。
外国企業のリスクは高い。ミャンマー郊外にある金やルビーから翡翠、石炭、銅、スズやタングステンといった天然資源は、安全性、地権、資源配分、武力紛争や法の欠如といった問題をはらんでいる。
先週、翡翠が豊富なHpakant 管区で地滑りが起き、少なくとも113人の採掘者が亡くなった。誰もがまだ責任を問おうとはせず、同地区で運営している企業は起訴されないだろう。
管区内でどの企業が操業中か、利益の範囲や産業自体の価値は未だ不明である。Watchdog Global Witnessは先月、2014年の翡翠産業単独の価値を310億米ドルと推測し、一方、政府の輸出指数はこの総計のほんの一部でしかなかった。
国際企業は、頻繁に土地の没収や環境被害の申し立てといった問題で住民と衝突している。
軍と武装民族間の散発的な紛争は、豊富な鉱石によってさらに激化する恐れがある。これに加え、地雷区域の制限、法の制限、遅い承認手続きによって、多くの企業が申請を撤回し他の場所での事業を検討するようになった。
また新しい法律によって、政府が同セクターからの利益の一部を開発資金に収め、これによって地域社会が利益を享受できるようになることが期待される。
既存のシステムの下では、採掘省の利益は財務省に渡り、年間予算に基づき再分配される。
国で最も天然資源が豊富な地区のほとんどが紛争地帯に隣接している。資源共有の条件を互いに受け入れることを具体化した合意が見込まれるという見通しは、真の全国停戦を、もたらすことができるかもしれない。
(Myanmar Times 2015年 11月27日版 第10面より)